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2024年7月31日 民族共生象徴空間 ウポポイを訪れて

チームしが県議団で北海道白老町にある民族共生象徴空間 ウポポイ(国立アイヌ民族博物館)を訪れ、アイヌ民族の文化、そしてその迫害の歴史について学んできました。

ウポポイは、日本の先住民族であるアイヌの文化を守り、私たちが共に生きる社会を目指すために作られた国立施設です。

具体的には、北海道初の国立博物館である「国立アイヌ民族博物館」。

アイヌ古式舞踊の上演や伝統芸能体験などを通じて、アイヌ文化を体感できる「国立民族共生公園」。

過去に発掘・収集され、全国の大学に保管されていたアイヌ民族の遺骨や副葬品の中で、直ちに返還できないものが集約され、保管する「慰霊施設」の3つの主要施設があります。

 

アイヌについて詳しくない方のために、簡単に説明すると、日本の歴史では長い間、先住民族は大和民族だけとされてきましたが、実際にはアイヌ民族が古くから北海道で独自の文化を育んできたことが、2008年の国会で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が全会一致で採択されたことで認められました。

日本政府が公式にアイヌ民族を先住民族と認めたこの決議をきっかけに、翌年の2009年に「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」報告において「民族共生の象徴となる空間」の整備が提言され、ウポポイ設立に向けて動き出し、今に至ります。

 

明治時代以降、日本政府の政策の中で、アイヌの人々はその文化や言葉を抑えられ、生活の基盤を奪われてしまいました。

土地を取り上げられたり、漁業や狩猟が禁じられたことで、今までと同じ生活ができなくなりました。さらにはアイヌ語を使うことや儀式を行うことも禁止され、アイヌ民族の存在は時間とともに消されそうになったことを学びました。

一方で、ウポポイではアイヌの文化を次の世代に受け継いでいこうという取り組みが進んでいることに希望も感じました。アイヌ文化は過去のものではなく、今も生きていて、未来につなげていく必要があると改めて感じました。

 

滋賀県の人権施策推進計画 第2次改定版では、アイヌの人々に対する理解を深めるための教育や啓発を進めていくことが掲げられています。

北海道出身の滋賀県議会議員ということもあり、ここについて県から説明を受けた後には、近江商人が北海道で交易を行い、商業活動を通じて得た富や物資の流れが、結果として日本政府の政策を支え、間接的にアイヌ民族への圧力を増す一因となったといわれている話についてもお伝えしました。

今回の視察では、アイヌ民族の歴史や文化をより理解することで、多様な価値観を尊重することは、求められている共生社会の実現に欠かせないものだと改めて感じました。

また、ウポポイで学んだことを、こうした人権施策と結びつけ、地域社会で共有・発信していくことの大切さを感じました。ウポポイで学んだことを、自分の活動にも活かし、地域の中で共生を進める手助けになれたらいいなと考えています。

ポロト湖のほとりに広がる豊かな自然の中で、アイヌ文化の多彩な魅力に触れることができるウポポイ。機会があれば、改めてゆっくりと見に行きたいと思います。

滋賀県議会議員(大津) 野田たけひろ

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