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2025年12月25日 県外調査 有機農業を軸にした熊本県山都町の地域づくりの取組

こんにちは。滋賀県議会議員の野田武宏です。

環境農水常任委員会の県外調査2日目の最初は熊本県の山都町を訪れ、有機農業を軸とした地域づくりの取組について調査をしてきました。

山都町は九州のほぼ中央、いわゆる「九州のへそ」に位置する中山間地域で、標高が高く、熊本市と比べて冷涼な気候条件にあります。阿蘇山由来の火山灰土壌など、農業に適した自然条件を背景に、1970年代から有機農業に取り組んできた経緯があり、現在も有機農業について、町の農業施策の中で継続的に取り組まれてきた分野の一つとして整理されているとの説明がありました。

国の有機JAS認証を受けた生産者が多く存在することを踏まえ、町としては有機JAS認証取得に係る手数料への支援など、制度面での後押しを行っており、参入や継続に対する一定の配慮がなされていました。こうした支援は、地形条件や中山間地域という特性を踏まえ、規模拡大による生産性向上を前提とするのではなく、付加価値を意識した有機農業の取組を進めてきたこれまでの経緯とも関係しており、その考え方は行政施策の中でも示されていました。

一方で、担い手の確保や技術継承は重要な課題として認識され、新規就農研修制度の整備や、県が設置したサポートセンターによる技術指導など、現場に継続的に関わる支援体制がとられていました。

 

また、山都町の有機農業の歩みを支えてきた要素の一つとして、学校給食との関係が挙げられます。1990年代に保護者の声をきっかけとして学校給食への地元農産物導入の動きが始まり、その後、農業関係者と学校給食をつなぐ取組が段階的に進められてきました。

現在も自校方式による給食が続けられており、米飯を中心とした献立の中で、地域農業との関係が保たれています。学校給食を通じて地域農産物が継続的に利用されてきたことが、結果として有機農業の取組を下支えする一要素になってきたのだと感じました。

 

さらに、町を象徴する存在として通潤橋があります。通潤橋は、水不足に悩む地域へ農業用水を送るために築かれた石造アーチの水路橋であり、農業生産を支える目的で整備された土木構造物で、2023年6月には、土木構造物として初めて国宝に指定されました。この国宝指定を受け、今回の調査では実際に現地に足を運び、橋の構造や周辺の地形、水の流れの説明などを受けました。

現地で確認すると、通潤橋が単なる文化財として保存されている存在ではなく、農業と集落の暮らしを成立させるための実用的なインフラとして築かれてきたことが改めて理解できました。農業用水の確保という切実な課題に対し、地域が知恵と技術を積み重ねて対応してきた歴史が、現在の町の農業の考え方とも重なって感じられる場所で、今後より一層、観光客が見込まれるのではないかと思います。

調査では、有機農業について、自然条件や歴史的経緯、行政による制度的な支援、学校給食との関係、そして水利を含む地域資源の活用が重なり合いながら現在に至っていることを確認しました。これらの点については、今後の本県における農業施策や地域づくりを検討する中で、比較・整理の対象として引き続き意識していきたいと考えています。

 

滋賀県議会議員 野田たけひろ

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