2025年12月4日 令和7年9月定例会議09月10日代表質問全文
○議長(目片信悟) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
次に、14番野田武宏議員の発言を許します。
◆14番(野田武宏議員) (登壇、拍手)皆さん、こんにちは。滋賀県議会議員の野田武宏です。
午前中の本田議員に引き続きまして代表質問をさせていただきますが、今回、本田議員とは、今年は大変縁があって、常任と特別委員会の委員会が一緒で、常任委員会では委員長と副委員長という形で一緒にやらせていただいているんですけど、まさか代表質問までかぶるとは思わなかったんですけど、それぞれまた違う会派の視点で、同じようにこの県政のために質問ができたらと思っています。よろしくお願いします。
さて、今年の夏も記録的な猛暑や線状降水帯による豪雨が各地を襲い、もはや100年に一度の災害は特別な出来事ではなく、毎年のようにどこかで発生する日常の危機となりつつあります。能登半島地震の被災地がいまだ厳しい状況にある中で、今年の8月には九州地方で豪雨災害が、先週には静岡県で台風に伴う竜巻による大きな被害が発生しました。こうした度重なる災害への対応に向けて、常に緊張感を持ちながら、最前線で当たられている防災危機管理局をはじめ、関係職員の皆さんに心から敬意と感謝を申し上げるとともに、命と暮らしを守る体制の重要性を改めて深く感じています。
さらに、世界に目を向ければ、ウクライナや中東での戦火は収まらず、国際情勢の不安定さと国内の危機が重なり合い、私たちの日常は落ち着かない状況が続いています。戦後80年という節目を迎える今、平和と安定は決して当たり前のものではなく、もろく不確かなものであり、揺らぎやすいものであることを痛感させられました。
その揺らぎは、遠いどこかでの出来事にとどまらず、私たちの日常にも押し寄せています。国際紛争や気候危機の影響で円安や物価高騰が生活を直撃するなど、様々な要因が重なり、暮らしの上には重苦しい雲が広がり始めています。
しかし、そのような厳しい現実の中にあっても、地域で互いを支え合い、困難から立ち上がろうとする人々の姿は、確かな希望の光を示しています。人と人のつながりを守り、誰一人取り残さない社会をつくることこそ私たちの使命にほかなりません。三日月知事が掲げてこられた全ての人に居場所と出番のある滋賀という理念は、今こそ真価を問われています。人口減少や少子高齢化、激甚化する災害、国際情勢の不安定化、複雑に絡み合う課題に立ち向かうには、現場に根差した確かなかじ取りが求められています。だからこそ、諦めず進み続けることでたどり着く近江の空の晴れ間を信じ、その先に広がる朗天の未来に向け、チームしが 県議団を代表して質問いたします。
まず最初に、令和8年度予算編成に向けて、知事に伺います。
民間の調査会社帝国データバンクが国内の主な食品メーカー195社を対象として行った調査によると、原材料価格の高騰などを背景に、9月に値上げとなる商品は1,422品目、品目数は前年同月を9か月連続で上回っているとのことです。物価上昇に関連した報道は日常となっています。長いデフレから脱却を目指していたので好ましいはずですが、物価高への対応に苦慮しているのが現状です。政府の統計データによれば、2020年基準の消費者物価指数の総合指数は111.9となっています。
物価が上がっているということは、裏を返せばお金の価値が下がっているわけで、昨年1,000円で買えたものが今年は1,000円では買えないという状況になっています。賃金や国内総生産、いわゆるGDPなどで名目と実質があるのは、物価の影響を考慮する必要があるからです。
一方、県予算や税収も同様なはずですが、名目の数字で年ごとの比較をしています。物価上昇がある場合は、昨年と同額の予算では同じ事業を継続することが難しくなります。また、ここ数年、県税収入は増加していますが、物価上昇分を加味した実質はどうかを考える必要があるとも言えます。もちろん、額面だけで判断するものではありませんが、昨年との比較や年ごとの推移を見る際、その比較には注意が必要だと考えます。
そこで、物価上昇局面における予算編成について、物価上昇の影響をどのように分析し、取り扱っているのか、県の見解を伺います。
知事は、「令和8年度に向けた施策構築にあたって」の冒頭に、いま起きていること、考えないといけないこととして、賃金上昇を上回る物価高騰を挙げています。ばらまき的な支援が目立つ国のこれまでの物価高対策ですが、本質的には物価上昇を上回る賃金となるような政策が求められると考えます。
そこで、物価高を上回る賃金上昇となるための施策について、これまでの県としての取組と評価、令和8年度の予算編成における施策について伺います。
同様に、「令和8年度に向けた施策構築にあたって」において、みんなで暮らしや社会の在り方をリ・デザインしていくとされています。これは、様々な課題が山積している状況の中、滋賀県においても総人口、年少人口、生産年齢人口は減少し、高齢者人口、高齢者単独世帯は大きく増加することになり、少子化による人口構造をはじめとする社会の様相が一変することを踏まえた問題提起と理解するところです。
そこで、どのようにしてみんなで暮らしや社会の在り方をリ・デザインしていこうとしているのか、見解を伺います。
これまで長い月日と多額の費用を費やして準備を行ってきたわたSHIGA輝く国スポ・障スポがいよいよ間近となりました。両大会の成功と無事の終了を心から念じるところですが、スポーツの振興はもとより、障害者福祉、観光や地域振興などに持続的な効果が残されることが期待されます。
そこで、国スポ・障スポのレガシーとして、令和8年度以降の施策構築や予算編成で取り組むことについて伺い、次の質問に移ります。
次に、気候変動のさらなる対応について、知事ならびに教育長に伺います。
2025年の夏は、各地で最高気温の記録が相次いで更新されるなど、空前の猛暑となりました。この暑さはまさに災害そのものであり、命を守る対策が急がれる事態となっています。もはやこれが異常気象ではなく、日常になるという覚悟の下での気候変動へのさらなる対応が必要という観点から伺います。
まず、熱中症対策について、県の対応を伺います。
消防庁が公表している熱中症で救急搬送された人数は、6月から8月の間に全国で8万7,393人に上ったとされています。そのような中、この夏も夏休みを中心に県内各地で様々なイベントが開催されました。それぞれ熱中症対策を講じながらではありますが、大津市のこの夏の猛暑日は44日に達しており、県主催の様々なイベントについても開催時期や方法を早急に見直す必要があると考えます。
加えて、情報発信も重要です。兵庫県や大阪府など、暑さ対策ポータルサイトを設けて、情報を分かりやすく一元発信している自治体も増えてきました。滋賀県も一定の発信はしておりますが、分かりにくい部分もあり、改善の余地があると考えます。どの部局が所管するのかも含めて、県民により分かりやすくするための検討が必要と考えます。
ほかにも屋外作業者への熱中症対策被服購入支援や、東京都が検討している高齢者などの省エネエアコン購入補助など、県としてできることがあると考えます。
温暖化はさらに進むことが予測され、県民の命を守るために、市町ともに連携した部局横断的な対策強化が必須と考えますが、今夏の県内の熱中症発生状況と現状の対策、また、今後に向けた対策強化について、知事の見解を伺います。
7月30日にカムチャツカ半島付近で起きた巨大地震に伴う津波警報などの際には、多くの方が炎天下の高台や施設の屋上などに避難をし、熱中症での搬送者が発生する事態となりました。また、避難所に冷房がなく別の避難場所への移動を余儀なくされる例も相次ぎ、猛暑の中の避難という新たな課題が明らかとなりました。備蓄品として冷却パックなどを備えることや、避難所に指定されている施設への冷房機器設置は喫緊の課題と考えます。
そこで、地震や風水害への災害対策に猛暑という観点を加えた対策強化について、知事の見解を伺います。
猛暑は教育現場にも大きな影響を与えています。学校行事の組替えや授業短縮、水泳、校庭での体育の中止が全国で相次ぎ、県内でも学校のプールサイドで児童がやけどを負う事故が発生したのは記憶に新しいところです。
昨年5月に改訂した滋賀県教育委員会熱中症予防対策ガイドラインでは、暑さ指数に応じた運動や行事の目安などが記載されていますが、しっかりと周知、活用されているのでしょうか。また、授業などが短縮や中止になった場合の代替措置も気になります。熱中症特別警戒アラートが発令された場合、オンライン授業に切り替える通知を県立学校に発出した香川県教育委員会の例もあります。ほかにも、水分補給設備や保冷グッズを冷やすための冷蔵庫の設置、登下校時への空調ベストの貸出しなど、他府県の取組も参考にしながら、さらなる対策も進めるべきではないでしょうか。
令和5年9月定例会議で私も質問しましたが、何よりも避難所となる学校体育館の空調設備の整備は早急に進めるべきと考えます。県内私学は、体育館を新設中の1校を除いて既に設置完了しています。待っていても、資材も人件費も気温も上がるだけです。
また、全ての小中学校の体育館に空調設置を完了した草津市では、快適な環境で子供たちが部活動に打ち込めていると保護者の声も聞こえてきており、教育の質の向上に資するものであると言えます。
そこで、本県教育現場への猛暑の影響と対策、また、県立学校の体育館への空調設備の整備について、見解を教育長に伺います。
猛暑は、水不足や高温による農産物や水産物への影響など、農業、水産業にも深刻な影響を与えています。本県では、暑さに強い近江米品種として、みずかがみ、きらみずきが開発され、生産拡大に取り組んでいるところですが、酒米など主食米以外の対応も含めて、さらなる対策も必要と考えます。
また、アユの記録的不漁には、産卵河川の水温上昇など温暖化による影響が大きいことが指摘されており、6月定例会議で補正予算が組まれ、追加放流がされましたが、抜本的解決の道筋は見えない状況となっています。
現在策定が進んでいる2035年までの中期的な施策の展開方向を定める第3期滋賀県農業・水産業基本計画においても、地球温暖化対策のさらなる推進と記載されていますが、滋賀県の農業、水産業における猛暑の影響と今後の対策について知事に伺います。
東大や京大の研究者らによるWAC──極端気象アトリビューションセンターは、日本が全国的な猛暑に見舞われた7月下旬の記録的な高温は、人為的な地球温暖化の影響がなければ起きなかったとする分析結果を発表しました。この発表からも分かるように、中長期的な気候変動緩和策として、CO2ネットゼロの取組のさらなる推進も欠かせないものとなっています。
2025年2月に、国が地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画を改定し、2040年度における温室効果ガス排出量の削減目標などや電源構成を設定したことに伴い、本県も滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画等の改定に取り組んでいるところですが、本改定を契機に、CO2ネットゼロをさらにどのように進めようとしているのか、知事に伺います。
CO2ネットゼロ社会づくり推進計画では、目指す方向性および施策の中で、森林吸収の強化のための基盤づくりも記載されています。
そこで、この項の最後に、その森林に関する大きな課題として、造林公社について伺います。
現在、その在り方が検討されている造林公社の問題は、水源涵養ならびにCO2吸収源として、不採算林を契約解除後、どう適正に管理していくかが最大のポイントと言えます。7月の首長会議では、あり方検討会で検討されていた造林公社の不採算林を県と市町の連携で管理する方針を県から説明されましたが、各市町長からの反発もあり、知事が県の主体的な責任を発言されたという経緯もあり、市町をはじめ、契約者、森林組合などのステークホルダーと協力体制をいかにつくっていくか、課題が残ると考えます。
また、6月27日の特別委員会の説明では、財源は森林環境譲与税や琵琶湖森林づくり県民税の充当を想定しているとされていますが、既に様々な事業に充てられており、実現性に疑問が残ります。
そこで、水源涵養のために、そしてCO2吸収源として、現在造林公社が管理している不採算林をどのように管理していくのか、知事の見解を伺い、次の質問に移ります。
次に、AI時代の県庁の人材について、知事に伺います。
生成AIは、2022年末に登場してから世界的に急速に一般化し、公開後僅か2か月で月間1億ユーザー規模に達したと報じられました。国内でも2025年度版情報通信白書で、個人の生成AI利用率が26.7%に上昇したと示されています。つまり、登場から約3年で日本国内でも4人に1人は生成AIを使う時代となりました。
こうした状況の中で、これまではAIは単純労働を奪うとされてきた通説とは異なり、近年の生成AI、特に先月7日にOpenAIからリリースされたChatGPTの最新モデルGPT-5の登場は、高度な教育を受け、高い報酬を得てきた高度専門職の仕事こそが代替され始めているとの指摘が相次いでいます。こうした状況は、AIに限らず、デジタル技術全般の進展を象徴しており、行政においても職員のスキルを的確に把握し、全庁に生かす仕組みが欠かせません。
2023年6月定例会議において提起した、職員一人一人のデジタルに関する知識や技術を整理、可視化し、組織全体でのスキル状況を把握する仕組みであるデジタルスキルマップについては、庁内でまず一部の職員を対象にデジタルスキルの把握を始めていると承知していますが、対象外の職員にも高いスキルが埋もれている可能性は否めません。誰がどのようなスキルを持っているのか、その偏りがないのかの全体像をつかみ、部局横断で力を引き出すには、全庁での可視化が土台になると考えます。
そこで、庁内におけるデジタルスキルマップの今後の展開について、どのように考えているのか伺います。
一方で、デジタルの活用が進むほど価値を生むのはデジタルの知識だけではなく、対話や協働の中で発揮されるアナログ的な力であり、先々を見据えると、デジタルとアナログの両輪を前提に人材の見える化を進める必要があります。デジタルスキルマップは、個人の能力や経験などの情報を把握し、採用、配置、育成などの人事戦略に活用する手法であるタレントマネジメントシステムの一部であり、将来を考えれば、コミュニケーション能力や課題発見力、合意形成力、倫理感といった人間にしか担えない力も含めて、デジタル以外の多様なスキルをマッピングし、可視化していくことが不可欠になると考えます。
リクルートマネジメントソリューションズの新入社員意識調査2024で「あなたが仕事をする上で重視することは何ですか」という問いに対しては、成長が1番、人や社会の役に立つ貢献が2番であった一方、金銭は9番目という結果が示されています。さらに、Z世代の多くが自分の能力を正しく評価されていないとも感じており、評価プロセスへの信頼が足りない現状も浮き彫りとなっています。このことからも、若者は、給与だけではなく、公正さや成長機会、社会への貢献実感を重視する傾向が強まり、自分を公平に評価してくれる職場を求めていると言えます。
こうした志向の広がりも後押ししてか、民間では、社員のスキルや志向、学習履歴を統合して見える化するタレントマネジメントシステムを導入する動きが広がっています。評価の客観性や透明性を高め、スキルの可視化を進める流れは行政にも影響を与えており、民間企業を志望する動きが強まるなど、公務員採用では応募者の減少が見られます。
そこで、庁内における様々なスキルのマッピング化および可視化についての考えを伺います。
学歴や専門性の優位性すらAIに吸収されつつある現代において、むしろ浮かび上がるのは人間にしかできない仕事の再評価ではないでしょうか。例えば、建設や介護、医療などの現場での臨機応変な対応、営業、交渉、マネジメントといった信頼や感情が不可欠な業務、そして、AIの助言を踏まえた上での最終的な判断と責任を引き受ける役割は人間にしかできません。だからこそ、今後はAIに任せることと任せないことの線引きを明確にしていく必要があります。
そこで、人が担う役割とAIが担う役割を区分した庁内の考えを伺います。
人材確保の競争が続く中、民間では学びと挑戦を称賛する制度づくりが加速し、時代に合わせた大きな変化が始まっています。特に、若い世代の公正な評価や成長機会を重視する傾向から、挑戦を後押しする文化がなければ人材が流出してしまう危険性があります。
そこで、県庁において、DX化やスキルの可視化を先送りすれば、一時的な負担は軽減できるかもしれませんが、採用力の低下や現場負荷の固定化を招き、最終的には住民サービスの質を押し下げることになります。むしろ変化を受け止め、挑戦を評価する文化に転換していくことが将来の行政運営を左右するのではないでしょうか。
そのためには、まずデジタルスキルを含めた職員の多様なスキルを見える化し、全庁的に把握することが不可欠です。その上で、見える化したスキルを人事評価に接続し、人としての力を処遇や登用に正しく反映させる仕組みを構築することが必要だと考えます。職員が人としての力が評価されると実感できることこそが、県庁の活力を高め、住民サービスの質の向上にも直結するはずです。
加えて、こうした文化の醸成は、県庁を働きたい、選びたいと思ってもらえる場としての魅力づくりにもつながります。県庁が選ばれる組織であり続けるためにも、挑戦と成長を支える文化の確立は欠かせません。
そこで、この項の最後に、庁内では、これからのAI時代にどのような職員像を掲げ、その姿を実現しようとしているのか伺い、次の質問に移ります。
次に、彦根城の世界遺産登録について、知事に伺います。
7月11日に、これまで文化庁と協議を重ねながら進めてきた彦根城の世界遺産登録の推薦書案を文化庁に提出いたしました。提出された推薦書案は、国の文化審議会において審査され、8月26日に国内推薦見送りという発表がなされたところです。地元の彦根市だけでなく、県民にとって大変ショッキングな結果となりました。
昨年の10月にイコモスから発表された事前評価においてある程度評価をしていただいたと考える中で、さらにバージョンアップした推薦書案を文化庁に提出したにもかかわらず、今回の結果は痛恨の極みと言わざるを得ません。
文化審議会から出された彦根城の課題については、推薦書案の進捗を評価する一方で、単独資産での申請を行うためには、説明の充実に向けて引き続き取組が必要とされました。
そこでまず、今回の結果を受けて、文化審議会から出された課題について、県はどのように理解しているのでしょうか。加えて、今回の結果を受け、再度彦根城単独で推薦を目指す方針に変更はないということでよろしいでしょうか、伺います。
また、これまでの彦根城の世界遺産登録において機運の醸成を図ってきたところですが、今回の見送りで市民や県民の意識が低下していくことを防ぐ必要があり、これからの再チャレンジは、推薦書を再提出するだけではなく、さらなる機運醸成を図ることも必要かと考えますが、今後の全県的な機運醸成についての考えをお聞かせください。
この項の最後に、三日月知事は「彦根城の世界遺産登録が遠のいたわけでもなく、無理になったというわけでもありません。世界遺産登録はもうすぐ手が届くところに着実に近づきつつあります」とコメントされましたが、知事が今後すべきことと、さらなる決意をお聞かせください。
次に、医療福祉拠点、看護人材の確保について、知事に伺います。
現在、県庁に隣接する県有地に医療福祉拠点の整備の検討が行われています。医療福祉拠点については、在宅医療福祉等を推進するための医療福祉センター機能と医療福祉関係の人材養成機能を一体的に整備し、2つの機能への相乗効果を発揮させる、医療福祉センター機能を高めるため、厚生会館やパスポートセンターの移転など県有施設を最適化する、そして、医療福祉拠点整備を通じて県庁周辺のにぎわい創出も図るという整備方針が示されています。しかし、現時点で医療福祉関係の人材養成機能については、看護人材を育成する大学の誘致が思うように進まず、また、にぎわい創出についても目に見えた進捗がない状況にあり、検討に長い時間を要しています。
そのような中、京都ノートルダム女子大学が2026年度以降の学生募集を停止することがこの4月に発表されました。伝統校の閉校に向けた決定に関する報道は多くの方に驚きと戸惑いを与えましたが、その背景には、入学者数の定員割れが続いていたことなどの理由が挙げられます。大学経営環境の厳しさが顕在化したものと言えますが、近年は各地の私立大学で定員割れとなっており、2025年8月8日に公表された日本私立学校振興・共済事業団の志願動向調査によれば、私立大学は2025年入学者において定員割れとなった割合が53.2%と半数を超えているとのことです。これらを踏まえ、大学の運営や経営状況について、県の認識を伺います。
この状況下で、不足する看護人材の育成のためとはいえ、民間大学を誘致しようとしていることは、大学の採算性やほかの大学への影響など、懸念が多く残ります。
そこで、看護人材の育成を行う大学誘致に向けた検討状況について伺います。
一方で、不足しているとされる看護人材や福祉人材の育成は待ったなしの課題であり、そのためにも県内に既にある養成施設や教育機能を最大限発揮させることが求められています。さきにも述べた「令和8年度に向けた施策構築にあたって」の中でも、拡大ではなく、これまで積み上げてきたもの、今あるものをどう使うか、組み合わせるとしています。
そこで、県内の看護専門学校および大学看護学部の定員充足状況など、人材育成の状況と県政における評価について、県の見解を伺います。
学生が進学する学校を選ぶ際に、学校の施設、設備が整っているか、充実しているかは重要なポイントになると言われています。県内の看護専門学校および大学看護学部の施設、設備の状況についての県の認識、これらの充実に向けた支援の必要性について見解を伺います。
看護人材の育成については、学生の状況に目を向ける必要があります。現に県内の看護大学で学んでいるという学生からは、学費の負担は大きく、借りやすい奨学金があればという声や、そのほかにも、実習先が少ないため遠くまで通う必要があり、その費用が負担となっているなどの声があります。
そこで、県内の看護人材の確保のために必要な学生に対する支援の充実について見解を伺い、次の質問に移ります。
次に、共生社会の実現に向けて、知事に伺います。
私たちは、全ての人に居場所と出番のある共生社会の実現を目指してきました。ところが、2025年7月の参議院議員選挙を通じて、日本の政治状況が大きく変化していることを強く感じています。今回の選挙では、外国人という言葉がSNSなどの主要なキーワードとなり、情報の中には事実と異なるものや根拠のない偏見に基づくものも含まれており、社会全体に分断や不安を広げる要因となっていると感じます。
滋賀県では、古代から渡来人を受け入れ、共に社会を築いてきた歴史があり、秦荘という地名も、古代の渡来系氏族である依智秦氏に由来したと考えられています。
また、戦後には県内から多くの方がブラジルなどに移住され、その後、2世、3世の方々が日本に戻り、滋賀で生活されています。こうした背景を経て、県内の外国人人口は年々増加し、2024年12月末現在で4万1,475人、県民のおよそ34人に1人が外国人という状況で、外国人は労働や生活の一員として地域社会に貢献されています。
一方で、インターネットなどでは、外国人について様々な言説が見られます。
そこでまず、滋賀県における外国人の現状と、今回の選挙に対する所見を伺います。
また、SNSなどを通じて拡散される外国人に対する誤情報やデマに対して、県としてどのように啓発や育成、相談体制の整備などに取り組まれるのか、併せて伺います。
今回の選挙を受け、多くの知事が外国人や多文化共生について発言しました。7月30日には全国知事会として外国人の受入と多文化共生社会実現に向けた提言が国に提出されています。滋賀県では、2025年3月に滋賀県多文化共生推進プランの第3次改定版が策定されました。現在、外国人住民が増加する中で、教育、雇用、医療、防災などの分野で制度整備の充実が求められています。
そこで、今後、滋賀県としてどのように多文化共生を具体的に進めていくのか伺います。
また、障害者差別解消法の制定を受けて、2019年に滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例が施行されました。この条例は、障害を理由とする差別の解消の推進ならびに障害者の自立および社会参加に向けた取組について基本理念や施策の基本的事項を定め、全ての県民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に寄与することを目的としています。この条例には施行後3年をめどとして見直し規定が定められ、施行から6年経過しましたが、その成果と課題、今後の条例の見直しについての考えを伺います。
戦争は最大の人権侵害であるとされています。歴史を振り返ると、差別や偏見、特定の集団への排除や抑圧が国家間、民族間の対立を引き起こし、やがて戦争へと発展してきました。
ナチス時代を生きた牧師マルティン・ニーメラー氏は、他者が排除されるときに沈黙すれば、いずれ自分が排除されるとき、誰も助けてはくれないと語りました。この言葉が示すように、今の社会においても、外国人だけでなく、女性や性的マイノリティー、高齢者、障害者など社会的に弱い立場とされている人々への共感が欠ければ、誰にとっても生きづらい社会につながりかねないと危惧しています。だからこそ、全ての人に居場所と出番がある共生社会をどう築いていくのかが問われています。
滋賀が誇る糸賀一雄氏の「この子らを世の光に」という言葉は、まさに共に生きる社会の出発点です。この精神を県政にどう根づかせ、実践していくのかが鍵となります。
この具体化の一つとして、2024年7月には滋賀県人権施策推進計画第2次改定版が策定されました。誰も取り残されない社会を実現し、滋賀からそのモデルを示すためには、ヘイトスピーチやインターネット上での誹謗中傷をはじめ、人権に関する課題への対応をさらに強める必要があると考えます。
そこで、この項の最後に、今後の人権政策における重点と社会全体における人権意識の醸成について知事の決意を伺い、全ての人に居場所と出番のある社会の実現を願って次の質問に移ります。
次に、全国学力・学習状況調査について、教育長に伺います。
子供たちは滋賀県の未来を担うかけがえのない存在であり、その学びの環境を整え、可能性を最大限に引き出すことは私たち大人の責務です。その教育の現状を把握し、課題を明らかにする重要な手だての一つが、毎年実施されている全国学力・学習状況調査です。令和7年度の結果が公表された今、改めて本県の教育の実態を正しく把握し、課題克服とさらなる向上につなげるため、以下の点を伺います。
学力・学習状況調査の点数のみに一喜一憂する必要はありませんが、本来の調査目的である一人一人の学習改善、授業方法の改善や学校運営の改善がしっかりと果たされる必要があります。いわゆる読み書きそろばんといった生きていく上で必要となる基礎的な学力については、本テストの結果からも把握できるのではないかと考えます。例えば、小学校での漢字の読み書きなどがこうした基礎的な学力に当たるのではないでしょうか。
そこで、基礎的な学力に特化した分析と、その学力向上に向けた取組について伺います。
文章や情報を正確に理解したり、人の言葉や表情などから思いを酌み取る読み解く力は重要であり、身につけていかなければならない力です。全国的に読解力の低下が懸念される今、本県においては、読み解く力の向上を推進することが読解力を身につけることにもつながると考えます。
本県として、これまで読み解く力を高めていく教育にどのように取り組んでこられたのか、また、今回の読み解く力を視点に分析をした結果を今後どう生かしていくのか伺います。
全国学力・学習状況調査は、児童生徒の生活習慣や学習環境についても質問されています。子供たちの学校生活の楽しさや満足度を問う項目の中で、「困り事や不安があるときに先生などへ相談できるか」「人の役に立つ人間になりたいか」「学校に行くのは楽しいと思うか」などは肯定的な答えが全国平均よりも高く、安定した数値となっていますが、子供たちの笑顔をさらに増やしていくためにどのような取組が必要であると考えているのか伺います。
文科省国立教育政策研究所が全国学力・学習状況調査のデータを基に行った分析によると、テレビゲームやSNS、動画視聴などの利用時間が長い児童ほど、ふだんの生活の中で幸せな気持ちになれることがある、自分にはいいところがある、人の役に立つ人間になりたいと考えていない割合が高いとの報告があります。
折しも、愛知県豊明市のスマートフォン利用時間制限の条例提出が話題となっており、デジタル機器とどう付き合っていくのかが今後大きな課題となると考えます。スマートフォンなどデジタル機器の利用について、教育委員会としてどのように考えているのか伺います。
第3期学ぶ力向上滋賀プランが始まり1年が経過しました。第3期プランが掲げる3つの視点、すなわち、子どもたちが主体となる授業づくり、学びを支え合う集団づくり、協働して取り組む学校づくりが実際に効果を発揮しているのかは重要な視点と考えます。
そこで、最後に、全国学力・学習状況調査の分析を踏まえ、現在の状況をどのように捉え、今後どのように進めていこうとされているのか、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
○議長(目片信悟) 14番野田武宏議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)チームしが 県議団を代表されて野田議員が御登壇いただきました。何点か御質問いただきましたので、順次お答えいたします。
まず、1問目の令和8年度予算編成に向けた御質問、こちらは4点賜りました。
まず1点目、物価上昇の影響等についてでございますが、例えば、大津市の本年7月の消費者物価指数は、前月比ではやや落ち着きましたものの、前年同月比ではプラスの2.2%、45か月の連続の上昇で、物価上昇は継続しております。
予算編成における各事業費の積算に当たりましては、その時々の物価上昇の影響等を踏まえ、最新の単価や実勢価格を用いているところであり、今年度の当初予算額がコロナ対策を除いた予算規模として過去最大となった要因には、こうした物価上昇の影響もあると認識しております。
令和8年度予算編成におきましても、物価や賃金の上昇が継続する現下の情勢に対応すべく、事務事業の見直しによる財源のシフト等も図りながら、適正な予算積算を行ってまいりたいと存じます。
2点目、賃金上昇のための施策についてでございますが、近年の急激な物価上昇の中、公定価格でサービスを提供する介護職員等への処遇改善支援、事業者の価格転嫁や生産性向上への支援のほか、指定管理者制度等における物価スライド制度の導入など、賃金上昇につながる多くの施策を検討し、実施してきたところでございます。
こうした施策は、近年の物価上昇局面において、その時々の状況や課題を踏まえつつ、国の対策とも連携し、当初予算のほか、補正予算なども適宜交えながら取り組んでおり、賃金の継続的な上昇に一定寄与してきたものと認識しております。
今後の予算編成におきましても、賃金と物価の好循環の実現に向けて、県民生活の下支えと本県経済の持続的な発展につながるよう、施策の構築に意を用いる所存でございます。
3点目、暮らしや社会のリ・デザインについて、人口構造をはじめ、社会の様相が大きく変わっていく中で、必要な生活機能を安定的に確保し、豊かで充実した暮らしを営むために、これまでの延長線上ではない暮らしや社会の在り方をリ・デザインしていくことが重要だと考えます。そのために、拡大だけでなく、これまで積み上げてきたものや、見いだした滋賀の強みをさらに伸ばし、高めていくことを意識しながら、あらゆる分野における人材の育成、確保、多様な人材が活躍する場の提供、デジタル技術の活用や社会インフラの適切な維持管理を進めてまいります。
人口構造が変わることには様々な影響がございますが、既存の価値観を見直し、社会の在り方を変革する好機でもあると捉え、多様な主体とともにつくることや広域の視点を持つことをはじめ、発想を変えることも意識しながら、今後、具体的な施策を鋭意検討してまいりたいと存じます。
4点目、国スポ・障スポのレガシーについてでございます。
10年以上にわたる大会準備の中では、その成功に力を尽くすことはもちろん、大会を機に生まれる有形無形の価値やつながりをレガシーとして創出、継承することを意識し、取り組んでいるところでございます。
まず、滋賀レイキッズをはじめとする競技力向上の取組でありますとか、大会で盛り上がったボランティア文化の継承など、「する」「みる」「支える」それぞれの場面でさらなるスポーツの振興を図ってまいりたいと存じます。
加えて、この間に磨いた滋賀の魅力やおもてなし力をさらに高め、令和9年のデスティネーションキャンペーンにつないでいくことや、プラごみ、食品ロスの削減など環境配慮行動のさらなる推進、ユニバーサルデザインへの理解促進など、観光、環境、共生社会づくりをはじめ、あらゆる施策において深化を図ってまいりたいと存じます。
大会の効果を一過性に終わらせることなく、レガシー創出の取組を全県挙げて進め、健康しがをさらに推進してまいりたいと考えております。
大きな2項目めでございますが、気候変動について、こちらは6点、私にはうち5点いただきました。
1点目、熱中症の対策でございます。
今夏の熱中症警戒アラートの発表は、9月10日現在18回、前年同期より4回少ない状況でございます。一方、本年6月から8月の3か月間における熱中症による救急搬送数は979人となっており、前年同期と比べ161人増加しております。
このため、企業と連携した啓発や、市町と連携した暑さをしのぐクーリングシェルターの周知に加えまして、県ホームページやSNSで熱中症予防行動のポイントや応急処置などの情報を発信し、熱中症対策の周知徹底を図っているところでございます。
議員御指摘の県主催イベントの開催につきましては、国のガイドラインに基づき、暑い時期に開催する場合の留意点を庁内に徹底し、開催時期の見直しも含め、熱中症対策を強化してまいります。
さらに、県民の皆様に向けて、より分かりやすい情報の発信を目指し、引き続き県ホームページ等の改善に努めますとともに、個々の支援について、今後県として何ができるのかを考えてまいりたいと存じます。
依然として厳しい暑さが続きますが、国スポ・障スポの開催をはじめ、あらゆる場面で部局連携により熱中症対策に万全を期し、県民の健康と安全を守ってまいりたいと考えております。
2点目、猛暑という観点を加えた災害対策についてです。
7月30日の津波警報発表時、屋外退避場所や避難途中における熱中症の発症に加え、避難所の一部に冷房機器の設置がないといった報道もあり、災害時の猛暑対策は重要な課題であると改めて認識しております。
県といたしましては、水や塩分補給食品、冷却材などについて、発災時には災害時応援協定を締結している企業から調達できる体制を整えておりますとともに、自助の努力を広げるため、8月8日の防災フェアから試行しております地震防災チェックリストに猛暑対策の視点も加え、よりよいものに改良した上で本格運用してまいります。
また、今年度、可搬型のエアコンと発電機を70台ずつ購入し、県立学校に配備するなど、避難所における猛暑対策を強化しているところであり、市町に対しましては継続して必要な物資の備蓄を、空調機器を扱う企業に対しては災害時応援協定の締結や内容の見直しをそれぞれ働きかけてまいりたいと存じます。
3点目、農業、水産業における猛暑の影響等についてでございますが、農業におきましては、近年、猛暑等の影響により水稲の収量、品質が低下しており、現時点において令和7年産米につきましても、米の一部が白く濁る白未熟粒が多く、品質低下が懸念されると伺っております。
猛暑の対策として、高温に強いみずかがみやきらみずきの作付拡大を進めますとともに、主食用米や酒米について新品種の研究や現地試験などを行っており、早期の現場への導入を目指して取組を進めてまいります。
漁業では、アユの不漁につきましては、猛暑による琵琶湖の表層や河川水の高温化に加え、琵琶湖での餌不足なども重なったことなどが主な要因であると認識しております。
その対策といたしまして、水温が低い河川を中心に漁業者と連携して川床を耕うんし、アユ産卵場を拡大するとともに、産卵用人工河川への親アユの放流量を増やした上で、昨年より1週間遅らせた9月5日に1.7トンを放流し、9月まで分散放流する新たな運用を始めたところでございます。さらに、餌不足につきまして、漁場生産力の回復に向けた具体的な検討を進めているところでございます。
地球温暖化が進む中、今後も引き続き、様々な知見を得ながら、新品種や水産資源回復技術の開発等に取り組み、滋賀の農業、水産業が次世代へと続くよう、気候変動への対策を推進してまいりたいと存じます。
4点目、CO2ネットゼロについてです。
今年度、滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画を改定し、新たに2040年度の温室効果ガス削減目標として、政府目標を上回る目標を定め、また、再生可能エネルギーの導入目標につきましても、政府の電源構成を踏まえ改めて設定し、これらを達成するための施策を盛り込みたいと考えております。
具体的には、新たに3つの重点取組として、1つは、太陽光、蓄電池などのさらなる導入拡大を図るため、新築住宅のZEH化等による再エネ導入、省エネの推進、2つ目、ペロブスカイト太陽電池の率先導入や水素等の新技術開発、実装支援をはじめとしたイノベーションの創出、そして3つ目として、森林や琵琶湖資源等を活用した吸収源の確保、維持を設定し、これらによる削減、吸収量の見える化も図り、強力に推進してまいりたいと存じます。
引き続き、県が率先し、県民や事業者、各種団体、市町等の多様な主体と協力しながら、CO2ネットゼロ社会の構築に向けて取組を進めてまいりたいと存じます。
5点目、不採算林の管理に係る見解についてでございますが、先般開催された第5回の分収造林事業のあり方検討会におきましては、不採算林について県有林化などの公的管理を行い、県が主体となり実現可能な範囲内で市町と連携し管理していく内容の取りまとめ案が示されたところでございます。
県といたしましては、不採算林をはじめとする環境林につきましては、水源涵養、CO2吸収源、生態系保全といった公益的機能という観点から大変重要であると考えております。具体的な取組を進めるに当たりましては、その財源も含めて、関係者と議論を深めていく必要があると認識しております。
今後は、検討会の取りまとめを踏まえつつ、分収造林契約者の御意向を十分に確認し、市町や林業関係者との協議も行い、当然、議会の皆様との議論も重ねてまいりたいと存じます。そして、今年度中を目途に県としての方針を定め、環境林について公益的機能が持続的に発揮される森林管理を目指してまいりたいと存じます。
◎教育長(村井泰彦) (登壇)気候変動についての6点の御質問のうち、私にいただきました質問、教育現場への影響等についてお答えをいたします。
本県教育現場におきましても熱中症に対する対策が必要となっておりまして、熱中症予防対策ガイドラインや環境省などの情報を踏まえまして、時間割の組替えや授業時間の短縮、活動場所の変更など、カリキュラムや行事内容を検討し、必要な授業時間を確保しながら対応しているところです。
また、市町教育委員会においては夏季休業期間の延長、小中学校においては登下校時の冷却グッズの携行を推奨するなどの工夫がなされているほか、中学校や高校においては運動部活動を中止することもあるなど、各学校において安全を第一に考え、様々な教育活動全般で適切な対応が行われているものと認識しております。
引き続き、熱中症対策の徹底やアップデートを促すとともに、各県立学校や市町の状況を確認し、必要に応じガイドラインの見直しも進めてまいります。
また、県立学校の体育館空調設備については、今年度から特別支援学校において計画的に整備を進めておりますが、児童生徒をはじめ多くの方から整備の御要望をいただいていることから、今後、関係部局とも協議をしながら、早急な整備に向けて検討を進め、快適な教育環境の確保を図ってまいりたいと存じます。
◎知事(三日月大造) (登壇)再び、残る課題について答弁させていただきます。
AI時代の県庁の人材について。
1点目、庁内におけるデジタルスキルマップの今後の展開についてでございますが、デジタルスキルマップは県庁職員のデジタルスキルの可視化を行うツールでございます。このツールを活用することで、職員が自らの強み、弱みに気づく機会を提供するとともに、組織全体の業務効率化や生産性向上につなげていきたいと存じます。今年度初めて導入するものであり、まだ試行段階でございますことから、内容や結果を踏まえて改善をしていきたいと存じます。
2点目、様々なスキルのマッピング化および可視化についてでございますが、職員のやりがい向上や成長に資する人事配置に加え、部局横断的な人材の登用による組織力の最大化等に向け、職員のスキル等を整理、把握し、可視化していくことは重要であると認識しております。
現在も、例えば、人事評価制度の中で、相談しやすい雰囲気をつくろうとする姿勢やコミュニケーション力など発揮された能力を把握することや、職員の自己申告書等を通じて資格や職務経験、キャリア形成や研修の希望等を把握することで、人材育成も意識した適材適所の人事配置に努めているところでございます。
一方で、求められるスキルの具体化や整理、デジタル技術を活用した可視化につきましては、今後の課題であり、まずはスキルの整理、把握の手法について検討を深めた上で、可視化も含め、職員のやりがい向上等に資する取組について研究してまいりたいと存じます。
3点目、人が担う役割とAIが担う役割の区分についてでございますが、AIは、単なる定型業務の効率化にとどまらず、新しいアイデアの創出、新たな可能性を見いだす力も備えており、職員に対して、革新的、独創的な視点や、新たな課題解決の方法を提案してくれるものでもございます。その上で、AIをよき相談相手として、その長所を最大限に活用し、人間の創造力や共感力を発揮することにより、施策の新規検討、高度化などに注力することが重要であると考えます。
4点目、AI時代における職員像の実現についてでございますが、本県では、目指す職員像として、対話を重ね、多様な主体と積極的に協働できる職員や、未来志向で果敢にチャレンジする職員など、AI時代にも必要となる姿を掲げ、人材育成に取り組んでいるところでございます。
この職員像の実現に向けましては、例えば現地での学びを重視した研修等によって、職員が必要なスキルを磨く機会を提供したり、上司との対話を通じた目標設定や庁内公募制度の実施など、より幅の広い、より難しい、より高度な業務に挑戦できる環境整備を行ってまいります。
その上で、発揮された能力や職員のチャレンジを評価する人事評価制度を適正に運用し、職員が自らの成長を実感できる職場づくりに努め、選ばれる滋賀県庁であり続けることを目指してまいりたいと存じます。
続きまして、大きな4項目めでございますが、彦根城についてでございます。
こちらは4点、まず、課題をどのように認識しているのかということでございますが、事前評価の結果を受けて以来、これまで文化庁等とも協議を重ねながら作成した推薦書案でございましたが、説明の充実に向けて引き続き取組が必要であるとの御判断をいただいたこと、これはとても残念なことだったと思っております。
今回提示された課題は、他の城と彦根城を比較する際に、その客観性に疑義が生じないよう、さらなる説明の充実が必要であるとの御指摘でございますが、引き続き着実に取組を進めることで乗り越えていけるものだと考えております。
2点目、単独での推薦を目指すのかということについてでございますが、250年もの長きにわたり平和な治世を続けた江戸時代の大名統治システムと、その統治拠点としてシンボルとなった城は、世界的に見ても普遍的な価値があり、彦根城がそれを伝える代表となる城だと確信しております。これまでから単独での登録を目指して取り組み、7月に提出した推薦書案も、単独で登録することを前提とした内容で作成、そして提出をいたしました。今回の指摘を受けましてもなお、その考えに変わりはございません。
3点目、機運の醸成についてです。
国内推薦の決定が見送られた今こそ、より多くの県民の方々に彦根城の価値を理解していただき、登録に向けて全県的な機運が盛り上がることは大変重要であると考えます。そのためには、彦根城ならではの価値をより分かりやすく皆さんにお伝えして共有することが必要だと考えます。より深く彦根城の価値を共有するためのシンポジウムを開催するとともに、大阪・関西万博、国スポ・障スポ大会という大規模イベントでのPR活動にとどまらず、全国から多くのお城ファンが来られるお城エキスポなど様々な機会を活用し、機運の醸成を図ってまいりたいと存じます。
4点目、今後のことでございますが、まずは、課題として示されているとおり、説明内容の客観性を高めることが必要だと考えます。それを踏まえまして、世界遺産や彦根城に精通された専門家等の御知見もいただきながら、文化庁や彦根市と連携して推薦書案を磨き上げていくこととしたいと存じます。あと一歩というところまで来ており、何としても世界遺産登録を成し遂げるという決意の下、最短目標となります令和10年──2028年の登録実現に向け、引き続き彦根市とともに全力で取り組んでまいりたいと存じます。
続きまして、大きな5項目めでございますが、こちらは医療福祉拠点についてでございます。
まず1点目、大学の運営や経営状況についてでございますが、御紹介のあった志願動向調査では、収容定員4,000人未満の小規模大学において志願倍率や定員充足率の低下が進んでおり、堅調に推移している中規模ならびに大規模な大学と比較して厳しい状況が見込まれると承知をしております。
また、8月に公表された国の私立大学の在り方検討会議の中間取りまとめにおきましては、地方の小規模私立大学から消滅し、地域経済の担い手となる人材や看護師等のエッセンシャルワーカーが輩出できなくなる可能性が課題として挙げられており、そうした人材の育成を担う地方大学への重点支援の方向性も打ち出されたところでございます。
今後は、国の目指すべき姿に挙げられている教育研究面の構造転換や大学間連携、強みを持つ分野への資源の集中などの方向性も意識しながら、県内大学とのさらなる連携強化を図っていく必要があると考えております。
2点目、医療福祉拠点における大学誘致の検討状況についてでございますが、2月定例会議以降、再公募の実施を念頭に置きながら、大学経営を取り巻く状況把握や、近隣府県の私立大学に対する意向調査を行い、実現可能性を探ってきたところでございます。この調査におきましては、5つの法人から拠点での看護学部開設に関心ありとの御意向が示され、現在、それら法人において具体の検討が進められているものと承知をしております。少子化が進む中で新たな投資を行うことは、それぞれの法人にとっても大きな御判断となると思いますが、将来の学生確保や採算性といった経営面も含めて十分な検討がなされた上で事業参画いただくことを期待したいと存じます。
また、県内の看護師養成機関の支援の充実を図りつつ、医療福祉拠点における人材養成機能の整備を何としても前に進めたいと考えており、本年10月頃を目途に再公募を行う方向で検討を進めているところでございます。
3点目、人材育成の状況と評価についてでございますが、本県には、看護師養成機関として3つの大学、9つの専門学校、1つの5年制課程がございまして、総定員は690名となっております。これらの学校では、経営的な課題に向き合いながら、これまで数多くの優秀な看護人材を養成いただいており、本県の地域医療を支える上で大変重要な役割を担っていただいているものと認識しております。
県といたしましても、看護人材確保において、新規養成の取組は特に重要だと考えており、これまで、修学資金や看護地域枠など学生確保のための制度や、人材養成の要である専門学校の運営支援等を通じて、県内養成機関の取組を下支えしてきたところでございます。
しかしながら、近年、専門学校の定員充足率は年々低下いたしまして、直近の令和7年度の入学者は67.2%まで落ち込んでおりますことから、県といたしましても課題を共有し、来年度に向けてさらなる施策充実について検討を行っているところでございます。
4点目、施設、設備の状況や、また支援の必要性についてでございますが、ハード、ソフト両面における学ぶ環境の整備は、看護師養成機関の魅力向上のみならず、教育の質向上にもつながるものであり、学生の進学先選択の重要なポイントの一つであると認識しております。県内の看護師養成所のほとんどが開校から20年以上経過している状況の中、これまでから教室や実習室の改修工事や空調設備の更新などの補助を行い、教育環境の維持向上を図ってきたところであり、今年度、現場の声を踏まえて、ICT環境の整備等、学生確保につながる取組に対する支援の拡充を行ったところでございます。今後も関係者のお声を聴きながら、引き続き県として何ができるか検討を行ってまいりたいと存じます。
5点目、学生に対する支援についてでございますが、今年度、医療関係者や学校関係者にも御参加いただきながら、看護人材の確保、定着に向けた在り方について議論しており、現状把握の一環で、県内の看護師養成機関に通う学生へのアンケートや個別ヒアリング、専門学校への意向調査等を実施してまいりました。
その中で、学生と学校関係者の双方から、現行の奨学金制度は要件が厳しく利用しにくいことから改善を求める御意見をいただいているところです。県外の学校への学生の流出も課題となる中、他府県よりも優位性がある奨学金制度の打ち出しは有効であると考えており、大学向けの看護地域枠も含めて奨学金全体を充実することについて検討を進めているところでございます。
また、看護師養成機関では、実習にかかる負担が大きいことから、そうした部分での学生支援について、どういったことができるのか、学校関係者とも議論を始めており、来年度の予算編成の中で全体の方針を定めてまいりたいと存じます。
最後、大きな6項目め、共生社会についてでございます。
外国人の現状、今回の選挙についてどう考えるのかということでございますが、本県の外国人人口は3年連続で過去最多を更新しており、外国人は、産業や地域を支える、なくてはならない存在でございます。さきの参議院議員選挙の際には、SNS上で外国人による犯罪などに関する言説が発信されていたところでございますが、令和4年以降の県内の外国人の検挙件数は横ばいで推移しているものと承知しております。
本県では、全ての県民を対象として多文化共生社会の実現に向けた取組を進めているところであり、外国人に関する根拠のない言説が拡散されたことは非常に残念だと思います。三方よしやおかげさまの精神を大切にする本県として、国籍や民族などの違いにかかわらず、全ての県民が共に助け合い、人権を尊重する社会の実現に向けた取組をさらに進めていく重要性を強く感じているところでございます。
2点目、誤情報やデマに対する取組についてでございますが、まず、誤情報等に対しましては、正しい情報の発信、事実確認の呼びかけなどにより、拡散の防止を図ることが重要だと認識しております。誰もが加害者にも被害者にもならないよう、人権啓発ラジオ番組や小学生とその保護者向けのリーフレット等で、ネット利用時の注意点や情報リテラシー等についての教育啓発を実施いたしますとともに、学校への出前講座などによる幼少期からの多文化共生意識の醸成に努めているところでございます。
県が設置しております、しが外国人相談センターでは、年間数件程度、外国人からの人権相談も入っており、外国語対応可能な相談員が法務局や県人権センターにつないだり、弁護士相談をセットするなど、解決に向けたサポートも行っているところです。引き続き、国や市町、県人権センター、県国際協会などの関係機関と連携いたしまして、相談体制の充実に努めてまいります。
3点目、多文化共生の進め方についてでございますが、令和7年3月に改定いたしました県多文化共生推進プランの検討過程におきまして、外国人を単に支援やサービスの提供対象としてではなく、共に社会をつくるパートナーとして、共に助け合う関係にあるという視点で捉えることが重要であるとの思いを強くするに至りました。まずは、このプランを全ての県民に知っていただき、多文化共生意識の高揚やコミュニケーションの促進などの課題解決に向けた取組を進めながら、今年度設置いたしました滋賀県多文化共生推進本部を活用いたしまして、プランに掲げる各部局の多文化共生関連施策を強力に推進していきたいと考えます。
本県は、古来、渡来人をはじめ様々なルーツのある人が海や山を越えて行き交い、共存、共生して発展を遂げてきた多文化共生の先進地だと考えます。その歴史を引き継ぎ、全ての県民が誠信の交わりの心をもって、多様性、公平性、包摂性を大事にし、共に歩んでいける社会づくりを進めてまいりたいと存じます。
4点目、共生社会づくり条例の成果と課題、見直しについてでございますが、本県では、令和元年──2019年に共生社会づくり条例を制定いたしまして、障害当事者に寄り添い、その声を代弁して県の相談員につなぐ地域アドボケーターの配置をはじめ、障害者差別解消法を補完する相談体制の整備に取り組んでまいりました。こうした取組により、差別等に関する相談件数が条例施行前の17件から令和6年度は73件に増加するなど、障害のある人が声を上げやすくなったことは大きな成果であるのではないかと考えます。
しかしながら、差別等の事案は今なお存在しており、県民や事業者の皆さんへの障害の社会モデルや合理的配慮のさらなる理解促進を図るとともに、地域アドボケーターへの研修の実施など、相談の解決に向けた実効性確保のための取組をさらに推進していく必要があると考えます。こうした課題に対応するため、現在、検討部会を設置し、条例見直しの必要性を含め議論しており、国スポ・障スポのレガシーも継承しながら、障害のある人もない人もお互いにその人らしさを認め合い、共に生きる共生社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
最後、今後の人権政策についてという御下問をいただきました。
滋賀県人権尊重の社会づくり条例にもありますとおり、全ての人の人権が尊重される豊かな社会をつくり上げることは、私たちみんなの願いであり、責務であると思います。人権は権利としての性格だけでなく、他者の自由や権利を認め合い、相互に尊重しなければならないという義務を負っていることなど、人権の基本理念を普及させることに重点的に取り組むことが必要だと考えます。全ての人が同じ地域の生活者として、国籍やルーツ、障害の有無などにかかわらず多様性を認め合い、人権を相互に尊重し、共に暮らし、支え合い、誰もが活躍できる滋賀を目指し、人権意識の醸成のための教育や啓発に今後も引き続き注力してまいりたいと存じます。
◎教育長(村井泰彦) (登壇)全国学力・学習状況調査についての5点の御質問にお答えをいたします。
まず、1点目の基礎的な学力についてですが、全国学力調査では、知識、技能について問う問題と、思考力、判断力、表現力について問う問題があります。
県全体としては、知識、技能のうち、いわゆる読み書きそろばんで求められるような漢字を書くことや分数の計算のこういった問題は、全国に比べて正答率が高かったところでございますが、多角形の外角とはどういうものかを問う問題など、知識、技能の中でも意味の理解が必要な問題には課題があることが確認できたところです。また、一人一人に目を向けると、一問も正答できていない、あるいは正答数が少ない子供がいるということが課題であると捉えています。
基礎的、基本的な知識や技能は、子供たちがわくわくする気持ちを持って学習に取り組むための土台となる大切な力であります。その定着のためには、学習内容の意味を理解できるようにするとともに、子供一人一人の学習状況に応じた丁寧な指導が必要であります。県教育委員会としては、適切な指導方法を具体的に示すとともに、既に効果を上げている学校や学級の取組を横展開することで、子供たちの知識、技能を高めてまいりたいと存じます。
2点目の読み解く力を高める取組と今回の分析結果の活用についてですが、本県では、読み解く力の育成には、必要な情報を確かに取り出す、情報を比較し、関連づけて整理する、自分なりに解決し、知識を再構築するという3つのプロセスを授業において意識することが大切であると考え、指導方法や教材等の研究とともに、指導力の向上を図る研修を一体的に進めてまいりました。
文章を正確に読み取り、内容を理解する読解力は、読み解く力のうち、文章や資料などから必要な情報を確かに取り出すプロセスで主に発揮されるものと考えております。今回の調査結果を読み解く力の視点で分析しますと、文章や資料等から必要な情報を取り出し、分析、整理することについては改善傾向が見られましたが、理解したことや自分の考えをまとめて記述することについては依然として課題がございます。課題の解決のためには、授業の中で子供が自分なりに解決し、知識を再構築するというプロセスを意識した言語活動を充実させることが大切であります。
県教育委員会としては、今後、一人一人の先生が着実に実践できるよう、指導方法をさらに具体的に示すとともに、教科別の協議会において授業改善の状況を確認してまいります。
3点目の笑顔をさらに増やす取組についてですが、子供たちが笑顔になるには、一人一人が安心して学び、成長できる環境を整えることが大切であると考えております。今回の調査結果で、学校生活の楽しさや満足度について肯定的な回答が多かった背景としては、学校や家庭、地域での関わりの中で頼りにされた、必要とされた、そういった経験が子供たちの自信につながっていると捉えています。
一方で、肯定的な回答をしていない子供が一定数いることから、引き続き、一人一人の声や思いを聴きながら、子供との信頼関係を築き、自己有用感を高めていくことが必要です。そのため、子供一人一人が、分かった、できたと実感できる授業づくり、居場所や出番、活躍の場づくりにより、行きたい、学びたい、楽しいと思える笑顔あふれる学校づくりに市町とともに取り組んでまいります。
4点目のスマートフォン等デジタル機器の利用についてですが、デジタル機器は、学習やコミュニケーションにおいて、必要な場面で効果的に活用することにより、有益なものであると考えております。
一方で、これまでの調査結果によりますと、滋賀県の子供たちのテレビゲームやSNS、動画視聴の利用時間は全国と比べて長い傾向にあります。利用時間が増えることで、基本的な生活習慣や健康面に影響を及ぼす可能性があると認識しております。
そのため、スマートフォン等デジタル機器の適切な使用については、子供の発達や特性を踏まえた対応と支援を行うことが必要であるとともに、子供が保護者と一緒に使い方を考えてルールをつくることが大切であると考えています。このことを保護者の皆様に御理解いただき、子供と一緒に取り組んでもらえるよう、県教育委員会では家庭への啓発に努めているところでございます。
5点目の調査結果の分析を踏まえた第Ⅲ期学ぶ力向上滋賀プランの今後の取組についてですが、今回の調査結果では、プランの3つの視点のうち、視点2の学びを支え合う集団づくりに関わる質問項目、「人が困っているときは進んで助けていますか」であるとか、視点3の協働して取り組む学校づくりに関わる質問項目、「コミュニティ・スクール等の取組によって、学校と地域や保護者の相互理解が深まりましたか」などで肯定的な回答が増えてきております。
一方で、視点1の子どもたちが主体の授業づくりに関わる質問項目、「自分に合った教え方、教材、学習時間などになっていましたか」などに肯定的な回答をしていない子供が一定割合いるなど、課題が見られたところです。課題の見られた視点1の改善に向けては、子供一人一人の学力や、つまずきの状況を的確に把握し、基礎的、基本的な知識や技能を身につけるとともに、子供たちの好きを育み、得意を伸ばす授業づくりを一人一人の先生が意識し、実践する必要があります。
県教育委員会では、調査結果を踏まえ、分析の仕方や、効果を上げている市町、学校、学級の取組について、市町教育委員会や各校のリーダー対象の協議会で共有を図っております。引き続き、効果的な取組を一人一人の先生に確実に届け、必要な学習指導やさらなる授業改善を着実に実施していただけるよう、市町教育委員会とともに取り組んでまいります。
