2024年4月1日 令和6年2月定例会議02月27日一般質問全文
◆8番(野田武宏議員) (登壇、拍手)チームしが 県議団、野田武宏です。よろしくお願いします。
それでは、通告に従いまして質問させていただきます。
まず、本年1月1日に起きた能登半島地震で亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

さて、既に240人を超える方が亡くなっている能登半島地震ですが、2016年の熊本地震では、地震が直接の死因となった方が50人であった一方、約4倍以上の218人の死因は避難生活中の心身の不調や負担といった災害関連死となっています。つまり熊本地震の死者のうち実に8割が災害関連死ということが明らかになっています。
また、その5年前、2011年には東日本大震災が発生、昨年3月の時点で死者と行方不明者は合わせて2万2,212人に上り、そのうち3,789人が災害関連死で亡くなっています。この震災の翌年、2012年1月に文部科学省では、福島県と仙台市立校を除く宮城県で避難所として利用された学校525校を対象に、避難所となったことによる課題についての調査を実施しました。その中で、避難所で問題となった施設や設備を聞いたところ、給水、上水設備や暖房設備を抜いて最も高かったのがトイレという結果になっています。
能登半島地震でも、56歳の女性が息子と避難所の小学校で合流できたものの、水の流せないトイレには汚物がたまり、トイレを我慢したが、耐えることができず、翌日に被災している自宅に戻ったと報道が伝えるほど避難所のトイレの状態は劣悪です。
本県からも避難所運営支援には202名と多くの職員が今回の被災地支援に向かったことで、現地のトイレ環境については既に多くの関係者の耳に入っていると思いますが、報道などでは、尊厳を傷つけられるほど劣悪な環境にある被災地のトイレは、夜間では犯罪リスクすら含んだ実態があると仄聞しています。
このように様々な問題が重なり、トイレを我慢するために水分摂取を控えてしまうと脱水症状につながり、血栓が出来やすくなってしまうのでエコノミークラス症候群で亡くなる方が出てきます。また、口の中の水分が不足することで口内細菌が増加し、誤嚥性肺炎となり、亡くなる方も少なくありません。当然ながら、排せつを我慢することで便秘となり、循環器疾患にもつながるなど、熊本地震時の死因8割となる災害関連死と大きくつながっているのがトイレです。つまり、災害時におけるトイレ問題は命の問題と言っても過言ではありません。
今回、能登半島地震を経て、トイレトレーラーの予算が導入されたことは三日月知事の思いがあってのことかと思いますが、トイレトレーラー導入の目的を知事に伺います。
次に、トイレトレーラーの運用に際しては、その大きさから軽トラ型のトイレなどを活用するほうが道路寸断時などに運用しやすいのではないかという声も聞こえてきます。車両通行の問題に対する考えを知事公室長に伺います。
次に、トイレトレーラーの効果について伺います。
全国の19市町と、都道府県では群馬県が導入しているトイレトレーラーですが、富山県魚津市と福島県棚倉町が納車待ちで、全国22自治体のネットワークが出来上がっているとのことです。今回の震災で、滋賀県のカウンターパートとなった石川県能登町には、都道府県では初めて導入された群馬県のトイレトレーラーが派遣されていたと仄聞しています。
そこで、実際にトイレトレーラーが運用されている現状を見てきた活用事例と併せて、トイレトレーラーを導入することによって想定している具体的な効果を知事公室長に伺います。
トイレトレーラー購入後、災害時の派遣に至るまでの間、防災カフェなどの活用を検討していると、昨日の清水ひとみ県議の質問に対する答弁がありました。防災カフェをはじめイベントの機会を有効に活用し、県民の皆様が災害時のトイレ対策に一層関心を持ち、自分事として捉えていけるように活用した催しを行っていきたいとのことで、防災意識向上という点からも大いに期待しています。
また、能登町に設置されていた群馬県のトイレトレーラーは、車体に群馬県のマスコットキャラクターであるぐんまちゃんが描かれていたことから、避難所の子供たちを中心に、「ぐんまちゃんに行ってくる」と親しみを持って呼ばれていたと仄聞しています。
イベントなどを通じて、かわいい、格好いい、使ってみたいという純粋な子供たちの思いから親しみを持ってもらうことで、大人も巻き込んだ県民の防災意識向上につながることにも期待しますが、既に導入されている自治体はマラソン大会や花火大会などのイベントでも活用を行っています。
一方で、平時に活用する際に気になるのが運用方法です。そこで、イベント時の運用方法やイベント活用時に災害が発生した場合のルールづくりが必要かと思いますが、現時点で想定している平時の運用方法について、知事公室長に伺います。
次に、費用面について伺います。
通常のトイレトレーラーについては、その費用が1台当たり約2,800万円と仄聞していますが、今回、1台約3,600万円で計上されている理由を知事公室長に伺います。
既に導入されている自治体では、国の事業やクラウドファンディングを活用することで自治体負担を減らしている事例が多く見られます。本年1月にクラウドファンディングを終了したばかりの富山県魚津市では、目標額600万円のところに約1,170万円の寄附が集まりました。また、4年前ではありますが、2020年12月に終了した千葉県君津市のクラウドファンディングでは、目標金額500万円のところに、その3倍近い約1,480万円の寄附が集まっています。
そこで、クラウドファンディングだけでなく国の緊急防災・減災事業債の活用について、現時点で、これらを活用するお考えがあるか、知事公室長に伺います。
○副議長(有村國俊) 8番野田武宏議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)トイレトレーラーについて、私に賜りました御質問にお答えいたします。
能登半島地震の被災地では、広い地域で断水が長期化したことなどにより、避難所におけるトイレの問題が改めて顕在化したところでございます。
これを受けまして、県といたしましては、トイレを含めた避難所の衛生環境の在り方について、市町とともに検討していく必要があると考えているところです。
たちまちの備えとして、ライフラインの復旧状況などに関わらず利用でき、また、長期の使用でも衛生状態を維持できるトイレトレーラーを導入し、市町の取組を補完していきたいと考えているところでございます。
◎知事公室長(松田千春) (登壇)6点の御質問のうち、私に5点頂きました。お答えいたします。
1点目の、車両通行の問題でございますけれども、御質問にある軽トラ型の車載式のトイレといいますのは、機動性がある一方で、積載できるトイレの数が少ないというデメリットもございます。災害時には様々な選択肢を備えておくことが大事であると考えておりますので、機動性のほか、運用面での効率性、利便性などを総合的に勘案して、トイレトレーラーの導入を検討してまいりたいと考えております。
2点目の、活用事例と想定している効果でございますけれども、能登半島地震の被災地では20を超えるトイレトレーラーが避難所で活用されているのを派遣した職員が確認しております。
トイレトレーラーは、仮設トイレと比べまして機動性に優れているとともに、一定の広さや設備が確保されていること、バリアフリー仕様により誰もが快適に使用できること、断水している場合でも衛生的に使用できることといった面で、日常に近い状態でトイレの使用が可能になることが効果であると捉えております。
3点目の、平時の利用方法についてでございますが、導入予定のトイレトレーラーには啓発を促すラッピング、外側にラッピングを予定しておりまして、多くの人の目に留まる場で活用することを通じまして、広く県民に災害時におけるトイレ問題の啓発を図りたいと考えております。このため、公園やイベント会場などでの設置をはじめ、市町での導入の機運醸成にもつなげたいと考えておりまして、平時においても有効に活用できるよう、ルールづくりも含めて検討してまいりたいと考えております。
4点目の、1台当たりの費用についてでございますが、提案している予算案では、車両本体、附属品、車検等の諸経費などの標準的な費用に加えまして、高齢者や障害者など配慮を要する方でもお使いいただきやすいよう、バリアフリー仕様として車椅子用の昇降機などを設置する改造費用を含んでいるところでございます。
5点目の、来年度当初予算案で計画しているトイレトレーラーの導入に当たりましては、議員からクラウドファンディングの活用についても御提案いただきましたけれども、国の緊急防災・減災事業債の活用が可能でございまして、また、県として、この起債を充当し、着実に導入に向けた準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございました。車椅子用の昇降機をつけるということで、福祉に優しい滋賀県のトイレトレーラーにとてもふさわしいものになっていくのかなと思います。
今お答えいただいた中で、最後のクラウドファンディングについて、もう一度、現在どのようにお考えか、お聞かせいただけないでしょうか。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
クラウドファンディングにつきましては、歳入確保の面で効果があるだけではなくて、広く県民の皆様の参加を募ることを通じまして防災意識の向上に資する面もあると考えております。防災対策を進めていく上で、どの事業に活用するのがふさわしいのかも含めまして、一度、先行している自治体の事例なども情報収集してみたいと考えております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
避難所では、汚いトイレを1度だけ使い、そのときだけ我慢するのではありません。避難生活が続く間、継続して使わなければいけないことが、和式トイレに慣れていない子供や足腰が弱い高齢者にとってちょっとだけトイレを我慢しようにつながり、亡くなってしまう方を増やしていく要因となります。
また、災害時のストレスから生理不順や不正出血を起こしやすくなる女性にとって、荷物を置けないところや暗く狭いトイレで生理に対処するのは容易なことではないはずです。
例えば高齢者や子供、要支援者など、助けが必要なところをサポートする仕組みがない場合や、建物の耐震状況など、その脆弱性に大きな自然現象が重なることで災害が発生します。だからこそ、その仕組み1つでは災害をゼロにすることができなかったとしても、災害の中で亡くなる方を1人でも減らし続けることを目指していく必要があると考えます。
今回のトイレトレーラーがその旗振り役になることを期待し、よりよい活用方法や購入方法をさらに御検討いただきながら、県内の先進事例として進んでいってほしいことをお伝えして、次の質問に移ります。
30年ほど前まで我が国では、「24時間戦えますか」とCMで歌われるなど、1日の大半を働くことに費やす、働くために生きるジャパニーズビジネスマンが当たり前でした。しかしながら、平成27年には大手広告会社の新入女子社員が過重な業務によって心身を病み、自ら命を絶ったことが大きな話題となり、そこから4年たった平成31年4月には働き方改革関連法が施行され、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の取得義務など、いわゆる働き方改革が本格的に動き始めました。
一方で、同年8月、アメリカの企業が世界主要40都市を20個の要素で総合評価し、ワーク・ライフ・バランス状況をランクづけするワーク・ライフ・バランス都市別ランキングを公開しました。1週間当たりの労働時間で、東京は42.1時間と22番目に長く、38.9時間と最も短かったノルウェーのオスロとは約3時間もの違いがありました。また、1週間当たりの労働時間が48時間を超える割合でも、東京の20%に対してオスロは4%と5分の1しかありませんでした。結果、ワーク・ライフ・バランス都市別ランキングにおいて、東京は下から2番目の39位と、世界と比較して我が国は労働時間が長く、休みが少ない、つまり仕事と生活の両立が難しいという現実から働き方改革がスタートしていったことが分かります。
少子高齢化が進展し、労働力人口が減少している中で、世界的にも重要視されているワーク・ライフ・バランスを高めることは本県の活性化実現にもつながると考えます。
働き方については昨日も多くの質問がありましたが、働く視点からの改革が一定進んできた中で、勤勉で、与えられた規則を正しく守ると言われる日本人の特性から、休みを生み出していくことを中心とした休み方改革について、県民全体のワーク・ライフ・バランスの充実と生産性向上による地域経済の活性化の実現を目指すために取り組んでいる愛知県のデータを参考に伺います。
まず初めに、本県職員における有給休暇取得率について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) (登壇)お答えをいたします。
知事部局における令和4年の有給休暇の平均取得日数は11.6日でございまして、これを通常の1年当たりの付与日数であります20日で除して算出をいたしました場合の有給休暇取得率は58.0%となるところでございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
次に、県内企業における有休取得率について、商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) (登壇)お答えいたします。
令和4年県の労働条件実態調査によりますと、県内民間事業所におきます労働者1人当たりの平均付与日数は16.6日、平均取得日数は9.9日で、平均取得率は59.8%という状況でございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)双方とも6割には満たないということでお答えいただきました。
一般的に休みが発生し、労働時間が減るということは生産性が落ちるというイメージもありますが、愛知県で公表されているデータによると、有給休暇取得率が高い産業は労働生産性が高い傾向が見られ、休みを取れることで仕事をする意欲につながっているとも受け取ることができます。
世界の大手総合旅行ブランドであるエクスペディアが令和3年に行った有給休暇の国際比較調査によると、日本の有休取得率が60%だったのに対し、ドイツは93%でした。先日、大きなニュースにもなりましたが、日本はドイツにGDPで抜かれてしまったことからも、有給休暇の取得率の高さが労働生産性を下げることに大きくつながっているということではないことが改めて分かります。
また、愛知県のデータでは有給休暇の取得率と離職率にも一定の相関がみられ、有給休暇取得率が高い産業は離職率が低い傾向が見られます。
次に、県内の観光目的客50%以上の宿において、コロナ禍前である平成31年1月から令和元年12月までの月の客室稼働率が最も低い月と最も高い月について、商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
観光目的客50%以上の宿におきます客室稼働率につきましては、観光庁宿泊旅行統計調査によりますと、コロナ禍前の平成31年1月から令和元年12月までの1年間のデータにおきましては、全国では8月が最も高く、63.7%となっており、1月が最も低く、46.8%となっております。
本県におけます同期間の客室稼働率は、同様に8月が最も高く、62.8%となっており、1月が最も低く、33.5%となっていたところでございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
続いて、県内企業における完全週休2日制度の採用状況について、商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
令和4年県労働条件実態調査によりますと、県内民間事業所におきまして完全週休2日制を採用しております事業所の割合は40.0%という状況でございました。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
今の点なんですけど、従業員の希望別での状況もお聞きしたいと思います。商工観光労働部長に再度お聞きいたします。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
今ほどの調査によりますと、企業規模300人以上の事業所では46.6%、300人未満の事業所では38.3%でございまして、規模が小さいほど割合が低下する傾向にございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
企業の規模が小さくなると完全週休2日の割合が減り、休みが少なくなる傾向が分かりました。
休みが少ない企業にこそ有給休暇が活用できるようにしていく必要があるのではないでしょうか。
また、国内の旅行をする際に、なるべく長い休みを取って出かけたいと考えるのが一般的で、愛知県の作成した、宿泊を伴う国内旅行の出発日に関するデータによると、土曜日に出発する割合が17.8%と最も高く、日曜日と祝日を合わせた16.1%が次いで2番目となっていることが分かります。一定の曜日に対して、旅行に関しても集中が見られます。
そこで、本県における平日、土曜日、日曜日に働いている人について、それぞれの割合を商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
総務省の令和3年社会生活基本調査によりますと、県内の有業者のうち、平日、仕事をしている人の割合は81.7%、土曜日は41.6%、日曜日は27.3%という状況でございました。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
当たり前と言えば当たり前なんですけど、平日には約8割もの人が働いているということで、多くの人が働いている平日に休みを取ることで旅行時の集中を分散することにつながります。例えば1年で客室稼働率が最も低いと先ほどお答えいただいた1月の平日に有給休暇の取得が進めば、県民のワーク・ライフ・バランスの充実に加え、生産性向上による地域経済の活性化の実現にも結びつくのではないでしょうか。特に休日の割合が少ない中小企業の有休取得は大きな効果を生むと考えられます。
愛知県では、有給休暇の取得を推進するに当たり、県内の中小企業を対象に、積極的に推進している企業を奨励する休み方改革マイスター企業認定制度を実施しています。この制度では、平均年次有給休暇取得率等に応じて、ブロンズ、シルバー、ゴールドの3区分で認定したり、知事表彰やハローワークの求人票に認定企業の表示、建設工事の入札参加資格における優遇など、認定区分に応じて様々な優遇措置を受けることができます。
民間企業、特に中小企業における本県の有休取得率をさらに向上していくために、このような仕組みを創設すべきと考えますが、商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
本県では、ワーク・ライフ・バランス推進企業登録制度を設けまして、有給休暇の取得促進などワーク・ライフ・バランスの実現に自主的に取り組む企業を広く紹介するとともに、入札、公共調達での優遇措置を講じているところでございます。
有給休暇を取得しやすい環境は、心身の疲労回復やリフレッシュ効果により仕事、生活の質を高めるとともに、企業におきましては人材の確保、定着にもつながりますことから、愛知県の取組についても研究し、さらなる取得率向上に向けた施策の一つとして検討してまいりたいと考えております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
有給休暇取得をしやすい環境づくりを進めることは、以前、川島県議から、ある意味、子供の有給休暇と提案があったラーケーションの導入ともつながり、大人と子供、相互に休みを取る環境を生み出し、子供が学びながら大人と一緒に過ごす時間を生み出していけると考えます。大人と子供が、平日、一緒に休むことで旅行の出発曜日や時期をずらし、混雑を避けることにもなり、より満足度の高い休暇にすることができます。あわせて、宿泊稼働率が低い時期の宿泊客確保にもつながります。
また、愛知県では県内の公立の幼稚園、小中学校、高校、特別支援学校を対象に11月21日から27日までを県民の日学校ホリデーとし、期間中1日を選択し、休業日としています。これは、家庭や地域における体験的な学習など多様な活動の充実を図るために独自の休校日を定めることができる学校教育施行令第29条の体験的学習活動等休業日によるものです。
県民の日学校ホリデーの活用は、子供の休みに合わせて大人の休みを生み出していくきっかけにもなるもので、保護者と子供が一緒に過ごせるよう、愛知県からは県内経済団体を通じ、これに合わせた有給休暇取得推進を呼びかけています。ただ、ラーケーションもそうですが、様々な事情から取得が難しい子供たちの居場所づくりも併せて考えていく必要は言うまでもありません。
本県では、平成29年1月の新年挨拶で三日月知事から話があった、びわ湖の日を県民の休日にする話など、休日を生み出すことに対する前向きな動きは以前にもありました。入り口の角度は異なりますが、びわ湖の日を県民の日学校ホリデーのように体験的学習活動等休業日で休校し、有給休暇取得を生み出すことは、琵琶湖への思いを多くの県民で共有していくことにつながるのではないかと考えます。
7月1日のびわ湖の日や9月29日の滋賀県誕生の日、またビワイチ週間など、県として、子供や大人の休みを生み出していくきっかけとして活用できる記念日はたくさんあるのではないでしょうか。
働き過ぎと言われる日本人が子供と過ごす時間を積極的につくるためにも、体験的学習活動等休業日の活用や有給休暇が取りやすい仕組みづくりを県として進めていくこと、有給休暇の取得を推進することで県民全体のワーク・ライフ・バランスの充実と生産性向上による本県の活性化の実現につながると考えますが、これら休み方改革を本県で進めることについて、知事の考えを伺います。
◎知事(三日月大造) 働き方改革は休み方改革でもあると思います。働く人一人一人、多様な休み方を選択し、充実した余暇を過ごすことは生活を豊かにするだけではなく、仕事の質も高め、ワーク・ライフ・バランスの充実につながるものと認識しておりまして、本県においても、基本構想が目指します未来へと幸せが続く滋賀の実現のため、いわゆる休み方改革を、ラーケーションを含め、経済団体や労働団体、教育関係者等とともに進めていく必要があると考えているところでございます。
このため、本県での導入に向けて、2月上旬には担当職員が先進的に取り組まれている愛知県を訪問いたしまして、取組状況や課題等についてヒアリングもさせていただいたところでございます。愛知県では、現在、県民の皆様方へのアンケート等による取組の検証が行われているということでございます。
今後、まずは庁内関係課で検討する場を設けたいと思います。愛知県でも、例えば休めない御家庭の問題ですとか、休むと収入が減るという課題、さらには子供の学びの進捗をどのように見ていくのかという、こういった課題が様々あるようでございますので、愛知県での取組の検証結果や、休み方改革と関連する本県における働き方改革の取組成果や課題等を踏まえて検討を進めてまいりたいと存じます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
先日の我が会派の代表質問で、男性職員の育児休業について伺ったところ、令和4年3月に男性職員の育児休業100%宣言を行ったことや、育休職員を支える職員への適切な評価の実施などの取組を強化したことなどをお答えいただいた上で、令和5年12月時点の育児休業取得率は75.3%と大きく向上したが、取得者のうち5.5%は1週間以内と、まだまだ取得期間が短い例が見られるという答弁を頂きました。
県庁内でも家族のために長期の休みを取ることはまだまだ難しいのが現状で、特に人数が少ない課などによっては休暇を取る際の自分の仕事を託す相手を探すのも難しい状況ではないかと思います。
また、次年度予算を作成する時期からこの2月に至るまでの間だけを見ても、県庁内で、特に答弁をされる皆さんは一層休みが取りにくい状況となって、休みを取れる時期が短縮されてしまうということが予想されます。仕方がないと言えばそれまでなんですが、その言葉の行き着く先にはワーク・ライフ・バランスを重視する若者の公務員離れにもつながっていくのではないかと考えています。
県庁内で一層、休みが取りやすい環境をつくるためにも、離職率を防ぐためにも、そして、県内の活性化を進めていくためにも、ワークシェアを部局を横断して考えていくような仕組みが必要かと考えますが、知事のお考えを伺います。
◎知事(三日月大造) 先ほども申し上げたように、総体的に、今おっしゃったことには私は同意いたします。
働き方改革は休み方改革にもつながります。この休み方というものをより柔軟に、そして、様々な選択肢が広げられる形で取得可能にすること、これは雰囲気も含めて、体制も含めてということでございますが、そのことは能率向上にもつながるでしょうし、また、魅力向上ということにもつながるでしょうし、いろんな意味で、三方よし、四方よしの効果というものも得られるのではないかと思います。
ただ、そのことがすぐに全てかなうわけではありませんので、どのような形で行っていくのか、また、伴う弊害や課題をどのようにみんなで乗り越えていくのかという、こういう議論も必要だと思いますので、そこは、先ほど申し上げたような、県庁だけではなくて民間企業を含めた県全体の取組と併せて、県庁内の取組についても丁寧に議論をしていきたいというふうに思います。