Blog活動日誌

2023年12月15日  令和5年9月定例会議10月02日一般質問全文

◆8番(野田武宏議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、4点質問したいと思います。
 まず初めに、高齢者の補聴器の助成について一問一答で伺います。

 人間同士のコミュニケーションにおいて、相互の音声や動作、表情といった情報を一つでも多く入手することで、より相手を素早く、深く理解することができると言われています。そのため、視覚、触覚、嗅覚など、様々な感覚から得られる情報が大変重要だということは言うまでもありません。
 その一つの聴覚については、誰にでも起こり得る加齢性難聴によって、一般的に50歳頃から年を取ることで聴力が低下すると言われています。しかしながら、日本では、補聴器をつけることで年を取った印象が出てしまうことや、費用面を心配して購入を戸惑ってしまう人がいると仄聞しています。
 人口の高齢化によって増加傾向にある加齢性難聴ですが、治したり症状を改善する薬剤はまだ登場しておらず、聞こえにくさを改善する補聴器は大変重要な役割を果たしています。
 そこで、補聴器を利用することの必要性について、知事の所見を伺います。

○議長(奥村芳正) 8番野田武宏議員の質問に対する当局の答弁を求めます。

◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
 WHOによりますと、中等度難聴の方は日常生活に支障を来すとの報告がありますことから、補聴器を使用し、聞こえを改善することによって、例えば会話が円滑にできたり、安心して外出しやすくなり社会参加が促進されるなど、生活の質の向上が期待できるものと考えているところでございます。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 知事、単純に必要性は高いと考えているか、それとも低いと考えているか、感覚でいいのでお答えいただけないでしょうか。

◎知事(三日月大造) 必要性というのは補聴器を利用する必要性という、そういうことでよければ、人によると思います。人によると思いますが、聞こえないよりは聞こえたほうがいい。その聞こえが加齢によって聞こえなくなってくるものを機器で一定補正──補うということは必要な方も多いのではないかと存じます。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 近年の研究で、難聴が認知症のリスクを高めることが分かってきました。そのリスクは、軽度の難聴でおよそ2倍、中等度で3倍、重度難聴ではおよそ5倍になると言われています。
 また、難聴によるコミュニケーション機会の減少も認知機能の低下につながると考えられていますが、難聴と認知症の関連性についてどうお考えか、健康医療福祉部長に伺います。

◎健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)お答えいたします。
 難聴と認知症の関係につきましては様々な研究が行われておりまして、補聴器の使用と認知症の発症率の関連につきましては、現段階で明確なエビデンスは示されておりませんが、医学誌「ランセット」によりますと、潜在的に予防可能な認知症の原因の一つとして難聴が挙げられていると承知をしております。
 また、国におきましても、補聴器使用と認知症の関連について研究が続けられているところと承知をしているところでございます。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 次に、市町の補聴器助成について、健康医療福祉部長に伺います。
 こちらで調べたところ、県内外の自治体では、1万円から10万円を超えるものまで、自治体によって様々な補聴器助成がありました。
 そこで、本県による市町の高齢者に対する補聴器助成の状況について、現状を伺います。

◎健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
 今年度、県内では長浜市、東近江市、豊郷町、甲良町、そして多賀町の5市町におきまして、高齢者を対象に上限2万円から4万円の助成が行われていると承知をしております。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 今、滋賀県内においては5市町において取組がされているということでお答えいただきました。
 引き続き、本県における高齢者の補聴器助成の状況について、健康医療福祉部長に伺います。

◎健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
 現在、県として、高齢者を対象とした補聴器助成は実施をしておりません。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 補聴器助成について、現在県では取り組んでいないということでお答えいただきました。
 補聴器助成については、本来国で取り組んでいただきたいところではありますが、国への要望を続けながら、国の対応が実現するまでは、まずは県として積極に取り組んでいくべきと考えます。
 70デシベル以上ないと障害者手帳は交付されませんが、認知機能低下を抑制する意味でも、健康しがを柱とする本県では、誰一人取り残さない共生社会づくりの一環として、補聴器の購入を積極的に支えていくべきではないでしょうか。
 例えば補聴器を使用することで社会参加活動の状況にどのような変化があるのか、補聴器を装着する前と後での状況についてアンケート調査を行い、参加してくれた方に補聴器購入助成を出している兵庫県のように、滋賀県内でも補聴器購入助成と併せた調査を行うことについて、知事に伺います。

◎知事(三日月大造) お取り上げいただいた兵庫県の取組は、加齢性難聴の人が社会参加を行う上での補聴器の必要性を裏づけるための調査と承知をしております。
 また、国においても難聴の早期発見、早期介入の仕組みの構築に向けた調査研究事業が進められております。
 本県といたしましては、加齢性難聴者への支援は、議員も御指摘いただいたように全国的な課題であり、国において統一した仕組みや支援策を構築することが必要だと考えておりまして、こうした動きを注視しつつ、引き続き国に要望を行ってまいりたいと存じます。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 国へ積極的な要望も必要だと思いますが、ぜひとも県でも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 私にはもうすぐ105歳になる祖母がいまして、幸いなことに認知症の症状もなく、今でもそこまで影響なくコミュニケーションを取ることができます。ここに至るまでに、祖母の生活を支えてきた要因の一つに補聴器があると感じる機会が多々ありましたので、ぜひとも県でも前向きに御検討いただけると幸いです。
 それでは、次の質問に移ります。
 次に、eスポーツについて、分割方式で全て知事に伺います。
 若者を中心に近年人気の高いeスポーツ、eスポーツとはエレクトロニックスポーツの略です。広い意味では、電子機器を用いて行う娯楽や競技、スポーツ全体を指す言葉で、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦スポーツを競技として捉える際の名称として、2000年頃から単語として使われ始めました。
 eスポーツの1ジャンルである対戦格闘ゲーム、その大会の一つ、Evolution Championship Series、通称EVO2023が開催地アメリカ、ラスベガスの現地時間8月6日に終幕しました。アラブ首長国連邦から参加したプロゲーマーが約7,000人の頂点に輝き、2024年に日本でEVO Japanが開催されることが発表され、いよいよ日本でもeスポーツの大きな世界大会が押し寄せる潮流を感じずにはいられません。
 EVOは毎年夏にアメリカ、ラスベガスで開催されている格闘ゲームの大会で、20年以上の歴史を誇っています。2004年に当時23歳だった梅原大吾選手の背水の逆転劇は、60分の1の世界で一度の失敗も許されない難局を打開し勝利したことで、日本人の若者が世界の舞台で起こした奇跡の逆転劇として、大会名とともにその名を世界にとどろかせました。コンマ何秒の世界で戦うまさにスポーツであるからこそ、競技には無線のネット回線ではなく、よりスピードが安定的に確保されやすい有線のネット回線が必須となりますが、eスポーツ団体の活動が理解されにくく、先日、県内でスポーツ部として活動している学校の関係者からは、先生の個人負担で備品などを購入し活動している現状をお聞きしました。
 一方、国際オリンピック委員会では、今年6月にシンガポールのサンテック・シンガポール国際会議展示場において、IOCが第1回オリンピックeスポーツウィークと題して、オリンピックeスポーツシリーズ2023のファイナルを開催しました。アーチェリー、野球、ダンス、テニスなど10種目の競技が行われ、野球ゲームのパワフルプロ野球や、先日の県庁にも持ち込まれていたグランツーリスモなど、世界的に有名な日本のゲームタイトルが使用されました。
 そのグランツーリスモで輝かしい功績を残しているのが、滋賀県代表の佐々木拓眞選手です。県庁に表敬訪問された際には大杉副知事がお会いしていますが、昨年、栃木県で開催された第77回国民体育大会・第22回全国障害者スポーツ大会 文化プログラム 全国都道府県対抗eスポーツ選手権で、グランツーリスモ7部門でU-18部を制しただけではなく、同年、モナコで行われたグランツーリスモの世界大会、TOYOTA GAZOO Racing GT Cup 2022でも3位の成績を残しています。
 2025年に滋賀県で開催される国スポ・障スポを前に、過去の大会優勝者を輩出している県として、eスポーツについて今以上に積極的に取り組んでいく必要があると考えます。7月には、知事を含めた関係者が県庁でeスポーツをプレーしたことで、その魅力を感じることができたと仄聞しています。
 そこで、知事にeスポーツに対する所感を伺います。
 すいません、続けます。
 海外に目を向けると、ノルウェーの公立高等学校では選択科目として、サッカーやハンドボールといった従来のスポーツと同様にeスポーツを置くことで、ゲームをスポーツとして位置づけています。
 しかしながら、FPSなどはプレーヤーが銃火器を持ち対戦相手や目標を撃っていく、戦争を連想させるような内容が多く、本県としてeスポーツを推進する際に、その適性についての線引きをどうしていくかなど、議論はその他スポーツに比べると一層慎重になっているかと思います。
 しかしながら、多様な立場の人がそれぞれに最適なフィールドで競い合うことができるeスポーツは、エンターテインメントの分野にとどまらず、様々な分野でも導入されているところが増えています。民間団体では他府県でもeスポーツに関連した取組が進められる中、本県としてもしっかり取り組むべきと考えますが、本県における今後のeスポーツへの取組について、知事に伺います。

◎知事(三日月大造) 2点、eスポーツについていただきました。
 まず1点目、所感、どのような感想を持っているのかということについてでございますが、eスポーツは、インターネットを通じて、時間、距離の壁を越えて、性別、年齢、地域を問わず、いつでも、誰とでも気軽に楽しむことができるコンテンツでありまして、従来のスポーツと共通するものもあると認識しております。
 ゲームをプレーすることでストレスを解消したり、達成感を味わったり、また、国内外問わず様々な人とつながることで新たな交友関係が築けるなど、プレーする人の心の健康にもつながるものもあると考えているところです。
 また、トップ選手が集う大会におきましては、国内外から多くの観客等を会場に集めることができるということで、ゲーム産業のみならず、観光分野をはじめとする様々な産業への経済効果も期待でき、裾野の広い、非常に魅力がある分野だと認識しているところです。
 2点目、本県における今後の取組についてでございますが、eスポーツには心の健康や従来のスポーツにつながる効果、さらには産業誘致や既存産業の活性化、高齢者のフレイル予防、障害のある方の社会参画など、スポーツ分野以外においても様々な効果が期待できると認識しております。
 一方で、議員御指摘のとおり、eスポーツの中には県で推進することが望ましくない表現ですとかゲーム依存症といった懸念もありますことから、ゲームの特性を踏まえ、行政としてどのような施策が適切なのか、様々な視点から課題を整理する必要もあると考えております。
 こうした効果や課題を見極めつつ、課題解決や施策展開の新たな手段の一つとして、従来の発想にとらわれず、取り組めるものからeスポーツの活用というものを検討してまいりたいと存じます。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 高齢者のフレイル予防など、高齢者に対しての施策としても様々な地域で大変重要なこととして取り組まれているようで、昨日もびわこ競艇場に訪れた際にVRを利用したeスポーツが行われて、子供たちが臨場感のある競艇体験をしているところを見て、子供たちが実際に競艇に乗ることができなくても、それによってその体験ができるんだなということが身をもって知ることができたので、ぜひとも様々な分野において、実際に体験することができないこと、特に高齢者などが、eスポーツを通じて体験することができるような仕組みに県として後押ししていただけるように、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の質問に移ります。
 次に、公共交通機関の利用促進による温室効果ガス排出量削減について、分割方式で伺います。
 公共交通の利用者数が増加することで、直接的に温室効果ガスの排出量削減につながることは明らかです。具体的には、個人の自動車利用が減少し、それによって自動車の排出ガスによるCO2排出が抑えられます。
 そこで、県の公共交通機関の近年の利用者数の推移について、現状の分析を知事に伺います。
 人口減少や自家用車の普及という社会経済構造の変化の中で、公共交通の立ち位置は大変大きく変化しています。かつて、多くの人にとって公共交通は唯一の交通機関でありましたが、自動車の普及により、多くの人々にとって主な移動手段はマイカーとなり、公共交通は都心や交通量の多い場所への移動、または車を所有していない人のための選択肢となっていきました。
 一方で、経済的な理由からマイカーを持つことをやめる人や、若い世代では公共交通や自転車、歩行をメインの移動手段とする人の増加は、公共交通への関心をさらに高めていく上では時代の追い風であると考えるべきではないでしょうか。
 そこで、滋賀県内の過去5年間の温室効果ガスの排出量の推移と、運輸部門における排出量の推移から、現状の分析について総合企画部長に伺います。
 次に、公共交通を活用する上で欠かせないアプリについてお聞きします。
 国内初の鉄道事業者連携による広域型MaaSアプリとして9月から始動したKANSAI MaaSについて、先日、当会派の代表質問に対して知事から、参加連携は効果的であると認識しておりますという答弁がありました。
 そこで、関西MaaSへの取組について、滋賀県の現状や今後の計画を土木交通部長に伺います。
 それぞれの効果に違いはありますが、公共交通の利便性向上や新しい交通サービスの導入は、温室効果ガスの排出削減にも寄与すると考えられます。
 最後に、公共交通機関の利用による温室効果ガスの排出削減についての取組や成果について伺います。
 滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画において、2030年までに省エネの取組による温室効果ガス排出量削減目標の削減量は、運輸部門が80万トンCO2と、産業部門、家庭部門、業務部門のその他3部門に比べると最も高い数値目標となっています。
 しかしながら、その内訳としては、次世代自動車の普及、燃費改善などが34.6万トンCO2と、約43%を占めています。一方で、公共交通機関および自転車利用の促進に関しては2.7万トンCO2と、約3%程度しかありません。
 運輸部門における温室効果ガスの排出量の削減は、次世代自動車の燃費改善を進めてきた自動車会社の企業努力によるものが大変大きいと感じています。本県として積極的に公共交通の利用促進に取り組むことで、より排出量削減を進めることができるのではないでしょうか。
 東京都交通局では、都営交通機関に乗るたびにたまる会員制ポイントToKoPoを活用するなどして、移動手段をマイカーから環境に優しい公共交通機関へと転換することを推奨するなど、様々な方法を駆使しながら利用者拡大を目指し、関心を高める施策に取り組んでいます。
 そこで、運輸部門における公共交通機関の利用による温室効果ガスの排出量削減目標について、公共交通機関の利用促進という観点を踏まえながら、公共交通への関心をさらに高めるためにどのような施策を行っていくのか、土木交通部長に伺います。

◎知事(三日月大造) 公共交通の利用促進ということで、私には1点御質問いただきました。
 まず、県内の公共交通の1日平均の乗車人員ということについてでございますが、担当部担当課調べによりますと、コロナ禍前の2019年度を10年前の2009年度と比較いたしますと、鉄道、バスとも増加傾向にあり、鉄道は6.8%、バスは5.0%の増であったということでございます。
 しかし、その後は、コロナ禍の影響等もございまして、2020年度には鉄道、バスともに約20%減少ということでございます。
 現在は回復傾向にありますものの、テレワークの普及等により、コロナ禍前の水準にまでは回復していない状況だということでございます。

◎総合企画部長(浅見裕見子) (登壇)私にいただきました1点の、過去5年間の温室効果ガス排出量および運輸部門における排出量の推移と現状の分析についてお答えをいたします。
 2016年度から、最新データである2020年度までの5年間の推移でありますが、県全域からの温室効果ガス排出量は1,298万トンから1,090万トンへと208万トン削減され、うち運輸部門については244万トンから206万トンへと、38万トン削減されているところでございます。
 現状の分析でございますが、県全域の温室効果ガスの排出量は、滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画における2030年度までの削減目標に対する進捗率が52%であるのに対し、運輸部門の進捗率は63%となってございます。全体に比べ運輸部門の進捗率が高いのは、燃費の改善に加え、輸送の効率化等が要因と分析しているところでございます。

◎土木交通部長(三和啓司) (登壇)公共交通機関の利用促進による温室効果ガス排出量削減に向けて、私にいただきました2点の御質問にお答えをいたします。
 1点目、関西MaaSの取組についてでございますが、県としては適時情報を収集しながら県内の事業者と意見交換し、MaaSへの参画を促しているところでございます。広域的なMaaSの枠組みへの参加、連携は、公共交通の利便性向上、利用促進の観点からも効果的であると認識しておりまして、引き続き、参画、協力を促してまいりたいというふうに考えております。
 2点目、公共交通への関心を高めるための施策についてでございますが、現在、滋賀県地域交通ビジョンの策定に向けまして、滋賀の公共交通未来アイデア会議として、県内各地で開催している県民トークや、今後予定しておりますフォーラムによりまして、地域公共交通の抱える課題を共有するとともに、目指す姿について意見交換を行っているところでございます。
 また、小学生を対象とした、公共交通の大切さやバスの乗車マナーを学んでもらうための出前講座や、バスの日まつり等のイベントの実施、県庁各部局が連携し、鉄道利用と健康づくりや城めぐりアプリとコラボしたイベントの開催、企業や地元自治体と協力して、駅と工業団地を結ぶシャトルバスを運行し、従業員が公共交通を利用して通勤する社会実験の実施などに取り組むほか、交通事業者、県、市町等が連携して様々な取組を実施しているところでございます。
 また、今月──10月の14日土曜日には近江鉄道主催のイベント、ガチャフェスが開催予定でありまして、当日は大人100円、小学生以下無料で全線乗り放題となり、沿線で約50もの連携イベントも催されるという予定でございます。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 利用者については、一部人口増の地域の影響も多く、公共交通の利用者が単純に人口の増加によって増えている部分もあるかと思いますが、ぜひとも先ほど土木交通部長からもお話しいただいたような様々なイベントを駆使しながら、県としても積極的に公共交通を部局横断で、温室効果ガスの問題と併せて取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、最後の質問に移ります。
 最後に、体育館における空調設備について、一問一答方式で伺います。
 先日の当会派の代表質問に対する知事の答弁でもありましたが、今年の大津の猛暑日は31日間でした。つまり大津では、12か月ある1年間のうち、丸1か月が猛暑日だったことになります。県としても、気候変動による生態系への影響を懸念されるとの答弁もありましたが、そんな中で、滋賀県の未来を担う子供たちにとって最も重要な学校生活のために私たちがしなければならないことは、熱中症対策ではないでしょうか。
 また、教育長は答弁において、今年度、15の県立学校では、暑さ回避のために体育祭を県や市の空調設備のある体育館等で実施したと回答されました。45ある県立高校の約33.3%が、空調設備のない自校で体育祭を行うことは危険だと判断したことになります。
 同じく知事の答弁でもあったとおり、総務省の調査では、本年5月1日から7月17日における本県の熱中症の救急搬送の人数は918人、そのうち13.4%が子供とのことです。
 そこで、この13.4%という数字をどのように感じているか、知事に伺います。

◎知事(三日月大造) 今お尋ねいただきました熱中症で救急搬送された子供の割合については、高齢者の54.2%や成人の32.4%に比べて低い値ではありましたものの、決して軽視できない状況であると感じております。
 子供は体温の調節機能が十分発達しておらず、熱中症は命に関わる危険性がありますことから、まずは暑さを避けることができる環境を整えることが重要であると考えております。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 令和4年度防災白書によると、2019年に自然災害で亡くなった方は155人、熱中症で亡くなった方は1,224人、翌2020年には自然災害では119人が、熱中症では1,528人が亡くなっています。同様に、2021年の自然災害で亡くなった方が186人に対して、熱中症では755人と、自然災害よりも熱中症で亡くなる方のほうが多いことが分かります。だからこそ、熱中症対策は最大限できることを行うべきと考えます。
 日本の法令上では、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火、その他の異常な自然現象に生ずる被害と定義されている自然災害は、地震などの一部の災害を除き、ある程度身構えて備えることでその被害を軽減する、命を守る行動を取ることができます。
 しかし、近年の尋常ではない夏の暑さで、屋外のスポーツや部活動は禁止され、太陽からの輻射熱で屋根の温度が60度近くまで上がり、蒸し風呂状態となってしまった体育館も運動場としての選択肢からなくなってしまったとするなら、健康な体づくりを必要とする子供たちに同時に求められている命を守る行動は、大変難しいものになっているのではないでしょうか。
 もし、その答えが空調設備のある県や市の体育館等で体育祭を行うことだとすれば、夏場の学校で日常的にスポーツを行うことは既に不可能になってきていると言っても過言ではありません。私たちの子供時代とは違い、この暑さに対応して、体育館ではなく、各教室で全校集会を行う学校も増えてきていると仄聞しています。
 そこで、屋外でも屋内でも、1か月という期間、運動することができなくなっている今の滋賀の子供たちの運動機会の確保についてどのように考えているか、知事に伺います。

◎知事(三日月大造) 猛暑による影響を避けるために、体育祭等の学校行事は、開催時期、実施場所等の変更を行いながら、また、部活動については練習時間の短縮等を行っていただきながら実施されていると伺っております。
 暑さ指数が高くなる時期においては熱中症事故の防止を最優先に考え対応する必要があり、その中で活動の機会を確保するためには、今後とも活動の時間帯や実施場所の変更などの工夫が必要であると認識しております。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 学校の体育館は、災害対策基本法に基づき避難所にも指定されています。幸いなことに過去を遡っても滋賀県の災害は比較的少ないほうで、地震に関して見ても、2018年6月の大阪北部地震がマグニチュード6.1ではありますが、マグニチュード7以上を調べると、約20年前の紀伊半島南東沖地震のマグニチュード7.4地震まで遡ることになります。災害が少ないことは決して悪いことではありませんが、それによって滋賀県の災害に対する経験値は、その他災害の多い都道府県と比べ高いとは言えないのが現状です。
 そんな滋賀で夏に大きな地震が起きた場合、熱中症対策による2次被害が防げるのでしょうか。マグニチュード8から9クラスの地震が発生すると言われている南海トラフ巨大地震について、政府では、今後30年以内の発生率を70から80%と予測しています。
 そこで、このような大地震が起きたとき、県立学校の体育館にどれぐらいの避難民が収容することを想定しているのか、知事に伺います。

◎知事(三日月大造) 県立学校のうち、高等学校35校、特別支援学校4校の合計39校の学校施設が指定一般避難所に指定されておりまして、その収容可能の人数は約4万人となっているところです。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 地震は夏の暑い時期を避けて起きているわけではありません。全国的に実際に見ると、8月で見ても、1993年の北海道南西沖地震や1983年の日本海中部地震はともにマグニチュード7.7以上の地震となっており、8月に発生しております。季節による発生の集中など、時期の特定ができるわけではないからこそ、いかなるときでも、せっかく災害から助かった避難者が熱中症で亡くなるなど、2次災害で命を失うことのないように、県として最大限の努力をしておく必要があると考えます。
 そこで、現在、本県において災害時の避難所に指定されている県立学校の体育館における空調設備の設置状況について、知事に伺います。

◎知事(三日月大造) 教育委員会の調べによりますと、いわゆる指定一般避難所に指定されている県立学校の体育館40か所のうち、空調設備、いわゆるクーラー等の空調設備を設置しているところはなく、スポットクーラーを設置しているところが8か所とのことでございます。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 滋賀県の860以上ある避難所のうち、県立学校の39は県立高等学校ということです。
 12分の1の1か月という大変長い時間が猛暑日となっている現実を考えると、猛暑日に災害が起きる可能性も高まってきていると言えます。しかしながら、エアコンも設置されていない蒸し風呂と化した学校体育館を避難所として使用することは、現実的に不可能ではないでしょうか。
 子供たちだけではなく、健康維持と増強のための生涯スポーツという側面や、世代を超えた交流の場として役割を果たしている、いわゆるママさんバレーにおいても、地域の公営体育館や学校の体育館を利用しています。
 去年10月31日検案時点の令和4年夏の東京23区および大阪における熱中症死亡者の状況を見ると、エアコンを所有していなかった方を含め、亡くなった方の約9割がエアコンを使用していなかったこと、また、平成30年以降は、令和3年を除く、熱中症死亡者が毎年1,000人を超えていることなどを含め、だからこそ、この状態で、屋内においては気に留めていなくても、熱中症対策を自然にすることができる空調設備の重要性を訴えます。
 これらを踏まえて、県として学校体育館への空調設備対策に力を入れるべきと考えますが、知事の考えを伺います。

◎知事(三日月大造) ママさんバレーと出てきましたので、そのスペシャリストであられる柴田先生も今日御臨席ですので、また機会を見て御指導等も賜れればと思います。
 学校の体育館は、生徒にとって学びの場であるとともに、災害時には避難所として活用することも想定される施設であり、生徒にとって安全・安心で快適な教育環境と、避難を余儀なくされる方の生活の質の向上は、喫緊の課題として対応する必要があるものと認識しております。
 もちろん、何でもないより、あればいいんでしょうけれども、そもそも断熱ができていない、そういう施設で空調を入れることの効率性、非効率性、また、かかる費用との兼ね合いもあります。いろんな課題がありますが、教育委員会と一緒にどのような対応ができるのか、必要なのか、ソフト、ハードの両面から議論をしてまいりたいと存じます。

◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
 山形県は県内の中学校、高校、特別支援学校の体育館や武道場への冷房機器の設置に予算をつけました。その背景に、本年8月28日、山形県内の中学校に通う13歳の女子生徒が運動部活動から帰宅途中に倒れ、熱中症の疑いで搬送され、病院で亡くなった件も影響しているように見受けられます。
 顧問の先生が当日の練習後、女子生徒に対し「気分は悪くないか」と問いかけ、「途中、つらいときはあったが大丈夫」と答えたと仄聞しています。女子生徒の遺体を乗せた車が告別式の会場に向かう中、中学校に立ち寄り、両親が「ありがとう。みんな頑張って生きてほしい」と話しかけると、中には涙ぐむ生徒もいたそうです。
 子供たちは、大人に迷惑をかけたくない、心配をかけたくないという優しい気持ちを持っていたり、必要以上に格好をつけたり、大人にとって重要なことでも素直に伝えることができなかったりします。
 補聴器助成の話でも、子供たちのスポーツ機会の確保についても、クオリティー・オブ・ライフに密接につながっています。一年一日をより実りあるものにするために、県としての取組に期待します。
 この件は滋賀県での出来事でもありませんが、ぜひとも滋賀県としても積極的に取り組んでいただきたいということを訴え、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

○議長(奥村芳正) 以上で、8番野田武宏議員の質問を終了いたします。

ページの先頭へ