2026年8月26日 滋賀県第29回 中学生広場『私の思い2026』県広場に出席してきました
こんばんは。滋賀県議会議員の野田武宏です。
先日、「滋賀県第29回 中学生広場『私の思い2026』県広場」に、滋賀県議会議長代理、教育・子ども若者・警察常任委員会委員長として出席しました。
この内容はみなさんに共有したいことばかりで、ボリュームも多くなってしまい、まとめるのにも時間がかかってしまっまことで、報告が遅くなってしまいました。
この大会は、中学生が普段の生活の中で感じていることや考えていることを、自分の言葉で発表するもので、今年は県内109校、24,157名の中学生が作文に取り組み、その中から選ばれた12名が意見発表を行いました。
大会の運営も、中学生実行委員の皆さんが中心で、開会から来賓紹介、発表の進行まで中学生自身が大会をつくっていることも、この「中学生広場」の良いところだなと感じましたが、何より印象に残ったのは、やはり発表内容でした。
それぞれテーマは違いますが、単に「こう思います」というだけではなく、自分自身が経験したこと、悩んだこと、傷ついたこと、そこから気づいたことを、自分の言葉でしっかり伝えてくれました。
最初に話をしてくれた長浜市立北中学校の杉野心咲さんのタイトルは「当たり前」。
小学生の頃から続けているバレーボールで、ずっとレギュラーとして試合に出ていた中、クラブチームでレギュラーから外された経験を話してくれました。
それまで当たり前だと思っていた「試合に出られること」が、決して当たり前ではなかった。
一度、自分自身がベンチで悔しい思いをしたからこそ、今度は試合に出られず苦しんでいる友達の気持ちにも気づくことができたという話です。
「当たり前に甘えるのではなく、当たり前に気づき、感謝できる自分でいたい」という言葉は、スポーツだけではなく、私たちの日常にも通じる話だと感じました。
次は湖南市立甲西北中学校の林田桃さんの「伝えるカタチ」。
林田さんのお父さんは耳が不自由で、家庭では手話で会話をしているそうです。
林田さんにとっては、小さい頃から手話が当たり前だったが社会に出ると、お父さんに店員さんの声が届かないなど、まだまだ壁があることに気づいていったそうです。
手話を単に障害を補うためのものとして考えるのではなく、「一つの言葉」「一つの文化」として捉えているところが印象的でした。これは県の福祉政策と同じ視点だと感じましたが、中学生でそこにたどり着いていることに驚きを隠せませんでした。
3番目は米原市立大東中学校の堀田莉央さんによる「人生ノート」。
「生きること」を一冊の本にたとえた発表でした。
堀田さん自身、心臓の病気で大きな手術を経験し、今も運動制限があり、いつ失神して倒れるかわからない不安の中で生活しているとのこと。
そして、自分自身を追い詰め、「死」が頭をよぎった経験や友達の存在に支えられ、「生きたい」と思うようになったことを率直に話してくれました。
「生きるとは、そのページを諦めずにめくり続けること」
このテーマを自分の経験として正面から語る姿が印象的でした。
草津市立高穂中学校の岩崎晴人さんは「本当の優しさとは何か」という内容で4番目に登壇しました。
相手に合わせること、波風を立てないことが優しさだと思っていたが、後になって、友達が実は一人で悩んでいたことを知り、もっとできることがあったのではないかと考えるようになったという話でした。
もちろん、どこまで相手に踏み込むべきかは難しいことですが、そのことにも触れながら、
「大切なのは、自分がどう思われるかではなく、相手にとって何が必要なのかを考えること」
と話していました。これを体現するのは大人でも難しいことだと思います。
彦根市立西中学校の一圓奈菜子さんは、「幸せはどこからくるのか」というタイトルでした。
吹奏楽でできなかったフレーズが吹けるようになった時、友達と笑っている時、家族に相談している時、お菓子を作っている時など、自分が「幸せだな」と感じる瞬間を一つずつ振り返っていました。
そして、「幸せとは、特別な何かを手に入れることではなく、すでにあるものに気づく力なのかもしれない」という考えにたどり着いたそうで、中学生でこの考えに至り、言葉にできていることに感動を覚えました。
湖南市立日枝中学校の杉浦彪仁さんは、「愛情」というタイトルで話をしてくれました。
親に注意されても素直に謝れず、つい反発してしまう。そんな、まさに中学生らしい経験から始まる発表でした。
ただ、ふと家の中を見ると、朝にはご飯があり、体操服は洗って畳まれ、食事があり、布団も用意されている。
そこで自分が「当たり前」だと思っていた毎日が、親によって成り立っていることに気づいたそうです。
「座っていただけで回っていた日常を回していたのは、自分の努力ではなく、親の愛情だった」という表現は、素晴らしいなと感じました。
7人目に登壇した高島市立今津中学校の荒木真央さんは、「本当の友達とは」というタイトルでした。
手に汗をかく体質のことで、からかわれたり、仲間外れにされた経験を話してくれました。
そんな時、一人の友達が「話すと楽になるよ」「自分らしく生きたらいいじゃん」と声をかけてくれた。
その一言で、自分の気持ちが大きく変わったそうです。
そして、「本当の友達とは、相手の心に寄り添い、ありのままを受け入れてくれる人」
と語っていました。
自分が支えてもらったからこそ、今度は自分も誰かを支えられる人になりたい。
他の発表にも共通していましたが、自分の経験を自分だけのものにせず、次は誰かのために、というところまで考えていることが印象的でした。
東近江市立船岡中学校の小谷柚奈さんは、「透明人間だった私に色をくれた人」。
小学生の頃、休み時間に友達の輪に入れず、一人で時計を見ながらチャイムを待っていたことから、「透明人間になったようだった」と話していました。
そこから、一人の友達との再会をきっかけに、学校生活が大きく変わり、今度は自分が一人でいる誰かに声をかけられる人になりたいと語ってくれました。
「勇気が出なくて迷っている1秒よりも、勇気を出して声をかけた一言の方が、誰かの救いになることがある」とは、とてもまっすぐな言葉でした。
9人目は大津市立瀬田中学校の山本梨衣奈さん。タイトルは「あたたかな光の中で」。
山本さんは、お父さんが広島県、お母さんが愛媛県出身で、これまでは「帰る場所」と言えば、広島や愛媛だったそうです。
一方で、自分自身は幼い頃から瀬田で暮らしてきたとのことです。中学生になり、地域の方々と竹灯籠づくりに取り組む中で、地域の人たちがまちを大切にしていることを知り、自分自身もまた、この瀬田に育てられてきたことに気づいていったそうです。
そして今思うこととして、将来、大人になった時には、「瀬田が私のふるさとです」と迷わず言えるだろうと話していました。
彼女の話は、大津市選出県議の私としても、嬉しく聞かせてもらいました。
彦根市立東中学校の佐渡大輝さんが10番目。タイトルは、「毎日の給食」。
小学5年生の時に口腔アレルギーがあることが分かり、好きだった食べ物が食べられなくなり、「食べる」という、生きるために必要な行為そのものに不安を感じるようになったそうです。
しかし、学校の先生や給食に関わる方々が、献立を細かく確認し、多くの人が安全な給食を支えていることを知ります。
「中に何が入っているのか確認しなくても、食事ができるのは幸せだ」
これは給食だけではなく、食事が用意される裏側に、どれだけ多くの人が関わっているのかを考えさせられました。
11番目に登壇した栗東市立栗東中学校の田弘瑛都さん。タイトルは「偏見という色眼鏡を外して」。
部落差別について学び、実際に地域を訪れた経験から、自分自身の中にも知らないうちに思い込みや偏見があったことに気づいたという発表でした。
特に心に残ったのは、地域の方が、なぜ辛い歴史をあえて発信するのかという話です。
黙ってしまえば、間違った噂や偏見が残り、次の世代も同じ苦しみを味わうかもしれない。
だからこそ、正しく知ってもらうために伝えているという話を直接聞いて、思いを受け止め、「人の世に熱あれ、人間に光あれ」という水平社宣言の言葉とともに、偏見を持たず、情報を鵜呑みにせず、差別を目にした時には「それは違う」と言える人になりたいと語ってくれました。
最後に登壇した彦根市立中央中学校の高杉栞和さんは「会ったことのない兄がくれた夢」というタイトルで話をしてくれました。
高杉さんには、自分が生まれる前に、18トリソミーという病気で、生後25日で亡くなったお兄さんがいたそうです。
一度も会ったことのない兄。そして、その兄を最後まで支えた看護師のお母さん。
その二人の存在から、自分も看護師になりたいという夢を持つようになったそうです。
高杉さんは、25日間という時間の中で、看護師だったからこそ、できる限りのことをしてあげられたことを誇りに思っているお母さんの話を聞く中で、病気を治すことだけではなく、限られた時間の中で、その人がその人らしくいられるよう支えることも看護師の大切な役割だと感じたそうです。
そして最後に「私は看護師になる。お母さんみたいに、優しくて強い看護師にきっとなるから」と語ってくれました。
12名の発表を聞きながら、何度も考えさせられました。
共通していたのは、自分の経験を振り返り、そこから何を感じ、これから自分はどうしたいのかを、自分の言葉で話していたことでした。
中学生だからといって、考えが浅いわけではなく、むしろ大人になると見過ごしてしまうことや、「そんなものだ」と片づけてしまうことを、まっすぐ見ているからこそ出てくる言葉がたくさんあり、泣きそうになってばかりいました。
その後、結果発表の合間には甲南中学校吹奏楽部の皆さんによる活動発表もあり、大会を盛り上げてくれましたが、それらも含めて自分の中学校時代と比べて、今の子どもたちがどれだけ凄いかを痛感してばかりでした。
そして審査終了後の表彰式で、杉浦さんが最優秀賞(滋賀県知事賞)。高杉さんが優秀賞(滋賀県議会議長賞)、林田さんも優秀賞(滋賀県教育長賞)、その他9名は優良賞となり、私は滋賀県議会議長の代理として、人生で初めての表彰を高杉さんにさせていただきました。
今回発表した12名はもちろんですが、その前には24,157名の中学生が、それぞれに自分の思いを文章にしています。
それだけ多くの中学生が、一度立ち止まって、自分自身や家族、友達、地域、社会について考えたということにも、大きな意味があるなと思いました。
そして、私たち大人の側も、中学生や若者の声を単に「聞いた」で終わらせるのではなく、その背景に何があるのかを考えることが大切だなと感じました。
同時に大人になると、どう足掻いても、日に日に失われてしまう素直さや物事をまっすぐ受け止める感覚、友人との時間など、大切なものを少しでも長い時間、残しておきたいなとも思いました。
今回の発表に参加したことで、次の時代を担っていく中学生の皆さんの真っすぐな思いに触れ、心が洗われる貴重な時間となりました。
このような機会にお招きいただき、本当にありがとうございました。
野田武宏

