2026年5月12日 連合滋賀議員団会議 徳島県視察研修 2日目① 「大塚国際美術館」
視察研修2日目は、鳴門市にある「大塚国際美術館」を訪問しました。

大塚国際美術館は、世界26カ国・190余りの美術館が所蔵する西洋名画を、陶板で原寸大再現した世界でも珍しい美術館です。
実際に館内を見学すると、単なる“複製展示”ではなく、礼拝堂空間まで再現されたミケランジェロの「システィーナ礼拝堂」や、ゴッホの作品群など、空間そのものを体感できる構成となっており、「文化財を後世へ残す」という強い思想を感じました。
ちなみにここは、2018年のNHK紅白歌合戦では、徳島出身の米津玄師さんがこのシスティーナ・ホールから中継出演したことでも全国的に注目を集めました。
実際にその空間に立つと、映像で見た以上の迫力と没入感があり、文化空間としての存在感を強く感じました。

また、中世ヨーロッパのタペストリー作品「貴婦人と一角獣」も印象的でした。一角獣とはユニコーン、いわゆる可能性の獣のことです。
作者不明の作品ではありますが、繊細な色彩や世界観が陶板で再現されており、“本物を見る”とはまた違う形で、作品そのものの魅力や空気感を体感できる展示になっていました。

その背景には、大塚グループの挑戦だけでなく、滋賀・信楽の陶業技術の流れが深く関わっていたことも大変興味深く感じました。
というのも、鳴門で大型タイル製造に取り組んでいた大塚グループは、さらなる高精度化と大型化を実現するため、信楽の陶業技術に着目。滋賀県信楽町の「近江化学陶器株式会社」との合併により、「大塚オーミ陶業株式会社」が設立されました。
信楽で培われてきた焼き物技術と、大塚グループの技術開発力が融合したことで、大型陶板を高精度で焼き上げる世界的にも高度な技術が発展し、現在の大塚国際美術館へとつながっていったとのことでした。
現在、大塚国際美術館に展示されている1,000点を超える陶板名画は、滋賀県甲賀市信楽町にある大塚オーミ陶業の信楽工場で製作されており、信楽のものづくり技術が、美術館そのものを支えていると言っても過言ではありません。

特に印象的だったのは、地域資源を単なる素材としてではなく、高付加価値の技術や文化へ転換していく発想です。
地域資源を、そのまま消費するのではなく、技術と組み合わせることで世界へ発信できる価値へ変えていく。その視点は、地方創生や地域産業を考える上でも大変参考になりました。

また、オイルショックによる建築需要低迷を受け、建材から美術分野へ舵を切った経営判断についても、大きな転換点だったことを学びました。
朝早い開館時間にはすでに長蛇の列を作っていた現在の大塚国際美術館は、単なる観光施設ではなく、「地域資源」「技術」「文化」が融合した徳島を代表する文化発信拠点になっていると感じました。

そしてそこには、滋賀・信楽のものづくり文化も確かに息づいていました。
今回の視察を通じて、地域にある技術や歴史をどう次世代へつなげ、新たな価値へ変えていくのか、その重要性を改めて実感しました。
